六本木ヒルズライブラリー

ライブラリアンの書評    2016年4月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?

一度きりの人生において、自分が「やるべき」使命に挑む、ビジネスストーリー

『人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。
~第2の人生 マラリアに挑む』水野 達男【著】


みなさんは「マラリア」について、どれくらいご存知でしょうか?

今もなお、アフリカの乳幼児を中心に、年間60万人ほどが亡くなっているマラリア。途上国における貧困の大きな原因になっています。

「1分間に1人死ぬ」といわれるマラリアを少しでも減らすために、著者は「オリセットネット」という、マラリアを予防する蚊帳を武器に、アフリカを舞台に新たなビジネスを展開します。

子供の寝顔を、母親が安心して見ていられるように。
50代からの挑戦でありながら、未知の場所で学び、成長を実感する。「それが一番の報酬」と著者は言います。


“「社会貢献」なんて大げさなことではない。自分の仕事を通じて、困っている人の役に立つ。それ以上でもそれ以下でもない。”

未開の地のビジネスにモデルはなく、あるべきものがないなら、0から1への精神で、みずからが作り出す。著者の筆には、やるべきことを決めた人が持つ強さがあります。

現在はマラリア撲滅を目指したNPO法人で、その活動の幅を広げている著者。やるべきことがあれば、人は何歳になっても挑戦し、成長することができる。その志を、自分ごととして読むことが、新たな道しるべになる一冊です。


~著者はアカデミーヒルズで開催されている、石倉洋子先生のグローバル・アジェンダ・ゼミナールの受講者でもあったそうです。もしかしたら、49階ですれ違っているかもしれませんね。
(ライブラリアン:結縄 久俊)


人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。——第2の人生 マラリアに挑む

水野達男
英治出版