六本木ヒルズライブラリー

今読むべき新刊書籍12冊 -2022年3月-

「個人が力を伸ばしていくための本」、「センスの良さと知性を兼ね備えた本」が続々と入荷している六本木ヒルズライブラリー。今月届いた本は何?

ウーバー戦記マイク・アイザック(著)、『緑の天幕リュドミラ・ウリツカヤ(著)、など、新着本からお薦め書籍をご紹介します。 




シェアリング・エコノミーを代表し、個人の働き方を革新すると謳われたウーバー。
しかし実際には、"台頭し、席巻し、社会から憎まれた"という歴史をたどりました。

その評価を決定づけたのが、上記を副題とするこの書籍。
日本語版が出版されるのに時間がかかったからこそ、かつてのウーバーに対する期待と、その実情の差が、わかりやすくなったようです。

まさか、と思うほどの異常な企業カルチャーが、いかにそこで働く人、周囲の人を蝕ばんでいくのか。
中にいると見えなくなるものがあると、著者であるニューヨークタイムズ記者の筆は痛烈です。
 
安心できるものは何もない、という思いが、日本で、世界で強くなっています。
しかし人は、これまでも不安定で残酷な世の中を生きてきました。
その姿が、『緑の天幕』には描かれています。

抑圧された社会で、文学や芸術を生きがいとする少年たちと、同じ環境に生きる人々。
さすがロシアの小説だ、と言いたくなるくらいボリュームのある長編で、ストーリーは重く、多くの人物が登場します。最後まで読み切れるかな?

途中で一休みしたとしても、もう少し落ち着いて読める日が来るまで、傍らに置いておきたい、そんな力のある本です。
 
(ライブラリー・アドヴァイザー:小林 麻実



ウーバー戦記

マイク・アイザック
草思社

緑の天幕

リュドミラ・ウリツカヤ
新潮社

日本のふしぎな夫婦同姓

中井治郎
PHP研究所

新しい世界の資源地図

ダニエル・ヤーギン
東洋経済新報社

地球の限界

ヨハン・ロックストローム、オーウェン・ガフニー
河出書房新社

言語が違えば、世界も違って見えるわけ

ガイ・ドイッチャー
早川書房

元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法

ジャック・シェーファ−、マーヴィン・カーリンズ
東洋経済新報社

海外メディアは見た不思議の国ニッポン

クーリエ・ジャポン
講談社

GROUP!—心がぐちゃぐちゃな私を救ったグループセラピーの記録

クリスティ・テート
CCCメディアハウス

“叱る依存”がとまらない

村中直人
紀伊國屋書店

ケアとアートの教室

東京藝術大学Diversity on the Arts プロジェクト
左右社

数字中国

西村友作
中央公論新社