六本木ヒルズライブラリー

今読むべき最新書籍12冊 -2016年9月-

「個人が力を伸ばしていくための本」、「センスの良さと知性を兼ね備えた本」が続々と入荷している六本木ライブラリー。今月届いた本は何?

新着本からお薦め書籍をご紹介します。



「世界トップのビジネススクール」といえば、誰もが真っ先に思いつく名前、ハーバード。

そのハーバード・ビジネススクールが、名声や伝統におもねず、「自分たちのこれまでは間違っていたのではないだろうか? 功利主義に走っていなかっただろうか?」と、大きな自己変革を行ってきたことをご存じでしょうか。

実際に現場(フィールド)に出て人々と話し、その想いを知り、彼らの問題を解決しようとする。そこから双方が互いに学び合う。一般的なソーシャル・ビジネスの枠を越えて、利益よりも地域を支える戦略を取ることが、かえって利益を伸ばす結果にもなるー。
そのようなことがMBA教育の現場で教えられているとは、以前のビジネススクールしか知らない者にとっては驚きです。学校によっては、アートや瞑想も積極的に教えられているとか。

ハーバード・ビジネススクールのフィールドの一つになったのは、大震災後の東北。5年間にわたって、毎年ビジネススクールの学生たちが実際に東北を訪れ、驚き、笑い、泣き、深く地域の人々と関わりながら自分たちも変化していくプログラムが開催されてきました。

実際、どれほどの日本人が、このプログラムに参加した学生たちよりも、現在の東北や、そこで頑張っている人々のことを知っているでしょうか。世界的に見ると、「起業」という点ではまったく注目されていない日本。それなのに東北では、ハーバード・ビジネススクールも驚くほどのアントレプレナーが数多く誕生しているのです。

エネルギッシュで最高レベルの頭脳を持ちながら、誰に対しても丁寧に接するグローバルな学生たちと、震災を経験し、非常にアツい気持ちで地域ベースのビジネスに取り組む人々との会話は、まさに異文化の衝突。反発します。

それでも、"社会があって事業がある"という気持ちは共通で、しかもその事業=ビジネスとは、国が違ってもわかりあえる共通言語なのです。

人が何かを学ぶということは、ただ知識を得る(Knowing)ことではなく、実践する(Doing)だけでもなく、自分とは何かということを知る(Being)ことなのだということが、本当に理解できました。

「震災を経験してきた人たちが一番欲しいものは希望だ」という思いを胸にこのプログラムを設計し、重層的なストーリーをわかりやすくまとめた著者の力量に感嘆します。


(ライブラリーアドバイザー:小林 麻実

ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか

山崎繭加 : 竹内弘高
ダイヤモンド社

人間さまお断り - 人工知能時代の経済と労働の手引き

ジェリ・カプラン : 安原和見
三省堂

貧困 子供のSOS—記者が聞いた、小さな叫び

読売新聞社会部
中央公論新社

時間をかけずに成功する人

シェーン・スノウ 斎藤栄一郎
講談社

東大のクールな地理 - 経済と“世界の動き”が見えてくる!

伊藤彰芳
青春出版社

イルミネート:道を照らせ。—変革を導くリーダーが持つべきストーリーテリング法

ナンシー・デュアルテ パティ・サンチェス 熊谷小百合
ビー・エヌ・エヌ新社

一生を賭ける仕事の見つけ方

斎藤祐馬
ダイヤモンド社

BoPビジネス3.0—持続的成長のエコシステムをつくる

フェルナンド・カサード・カニェーケ スチュアート・L.ハート 平本督太郎
英治出版

あなたの体は9割が細菌菌—微生物の生態系が崩れはじめた

アランナ・コリン : 矢野真千子
河出書房新社

若者離れ—電通が考える未来のためのコミュニケーション術

電通若者研究部 吉田 将英,奈木 れい,小木 真,佐藤 瞳
エムディエヌコーポレーション

僕たちは「新しい技術」で生き残る—テクノロジーで未来のビジネスをつくる戦略会議

dots.
日本実業出版社

パブリックライフ学入門

ヤン・ゲール ビアギッテ・スヴァア
鹿島出版会