六本木ヒルズライブラリー

今読むべき最新書籍12冊 -2015年11月-

「個人が力を伸ばしていくための本」「センスの良さと知性を兼ね備えた本」が続々と入荷している六本木ライブラリー。今月届いた本は何?
新着本からお薦め書籍をご紹介します。


今年5月に明らかになった、FIFA(国際サッカー連盟)の幹部による汚職事件は、世界中にショックを与えました。汚職、賄賂、マネーロンダリングに、FIFAの副会長を含む最高幹部14人が、多年にわたって関わってきたとして、米司法省に逮捕されたのです。

本書は、この一連の逮捕劇を巻き起こしたジャーナリスト、アンドリュー・ジェニングスによる15年の調査報道をまとめたもの。想像を超える、巨大で汚い世界を、たった一人の個人がここまで追い詰めたとは信じられないくらいです。

スポーツ関連の大企業、マスメディア、ロビー活動から軍事政権まで。この"世界で最も人気のあるスポーツ"が生み出す莫大なマネーをめぐり、関係者がグローバルに連携していることも、ある意味で驚きです。
恐喝や暴力を日常茶飯事とする上流階級の存在は、フィクション以上に衝撃的でしょう。




マーケティングに関するお薦め本を訊ねられると、返答に窮することが多いもの。

なぜならば、大御所が書いた教科書的な本には激変する現在のwebマーケティングが欠けていたり、逆に最新事例は満載な本でも、ごく小さなエリアのことのみについて書かれていたり、研究者の視点が欠けていたり。なかなか、幅広くかつ時流をとらえた本は見当たりませんでした。

『ここからはじめる実践マーケティング入門』は、そんな悩みを解決する本。アカデミックな学問界の最新研究も踏まえながら、世界の一流企業で実際にマーケティングを行ってきた著者は、基本的な考え方から、世界のマーケティングの潮流までをコンパクトにまとめました。
見かけよりもかなり手ごわい一冊です。






大ベストセラー、『スタンフォードの自分を変える教室』の著者が新作で語るのは、ストレスの全てが悪いものではない、ということ。ストレスを逆手にとってうまく使うことにより、普段よりも大きな成果を上げたり、かえって気持ちを落ち着けたりした事例が、多く挙げられています。

その第一歩になるのが、「自分はストレスを感じている」という事実を客観的に認識すること。
すべてのストレスをポジティブなものに変えられるわけではないが、考え方を変えることによって状況を変化させられることもある、という主張が、非常にわかりやすく書かれています。

またも60万部を超えるベストセラーとなるのでしょうか? そんな意味でも興味津々です。


(ライブラリーアドバイザー:小林 麻実



FIFA腐敗の全内幕

アンドリュー・ジェニングズ : 木村博江
文藝春秋

ここからはじめる実践マーケティング入門

グロービス 武井涼子
ディスカヴァー・トゥエンティワン

スタンフォードのストレスを力に変える教科書

ケリー・マクゴニガル : 神崎朗子
大和書房

アートは資本主義の行方を予言する

山本豊津
PHP研究所

「偶然」の統計学

デイヴィッド・J・ハンド : 松井 信彦
早川書房

限界費用ゼロ社会

ジェレミー・リフキン : 柴田裕之
NHK出版

香港パク

李承雨 : 金順姫
講談社

アリババ

ポーター・エリスマン : 黒輪篤嗣
新潮社

地球温暖化交渉の真実

有馬純
中央公論新社

人質460日

アマンダ・リンドハウト : サラ・コーベット:鈴木彩織
亜紀書房

大班

加藤鉱
集英社

資本主義に希望はある—私たちが直視すべき14の課題

コトラー,フィリップ【著】倉田幸信【訳】高岡浩三【解説】
ダイアモンド社