六本木ヒルズライブラリー

ライブラリアンの書評    2022年1月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?




昨年、作詞活動50周年を迎えた作詞家・松本隆。多くのヒット曲を生みだす秘訣とは。それはもちろんひとつではなく、様々な要素が折り重なっている。言葉は歌声と音楽、そして風に乗り、広く世を渡っていった。
 
松本隆は「余白の大切さ」を言う。説明しすぎない、間や隙間。照らしすぎずに、陰影を楽しむ心持ち。そこに聞き手や読み手の想像を豊かにする余地がある。
 
言葉は経験した事柄から生まれる。視点と距離、光と影、リズムとバランスと美意識を巧みにすべく、言葉のアンテナは常に張り、磨いておきたい。

" 夕日を言葉にしてごらん 世界が一変するよ ” 
 
日が落ちるまでのわずかな時間、光と闇が溶け合うマジックアワー。夕日にはどんな言葉が合うだろうと、考えてみる、言ってみる、書いてみる、眺めてみる。夕日そのものほど雄弁にはならないけれど、今まで知らなかった新たな夕日に出合うかもしれない。

(ライブラリアン:結縄 久俊)

松本隆 言葉の教室

延江浩
マガジンハウス