六本木ヒルズライブラリー

ライブラリアンの書評    2022年8月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?




本書の元のタイトルは『Four thousand weeks』。つまり「4000週間」。
人生が80年だとすると、だいたい4000週間ほど。仮に40歳であれば、残りは2000週間。その2000週間を、どのように過ごすのがよいだろう。

できればやりたいことをやって過ごしたい。ではやりたいことをリストアップしよう。さて、リストのすべてに着手して達成に至るまで、2000週間で足りるだろうか。

きっと、足りない。やりたいこと以外にやるべきことがたくさんある。そしてつい、日々の忙しさにかまけてしまう。次々やってくる仕事をこなしているうちに、一日は過ぎていく。がんばってその仕事を効率よく片付けていけば、いつか時間ができて、やりたいことができる。。。だろうか?

本書いわく「いつか時間ができる」ことはない。必要なのは、効率化ではなく、すべてをやろうとする誘惑に打ち勝つことだ。


先が見えない時代だからこそ、「今この瞬間」に向き合い、大きな視点で自分に残された「時間」を考える。他の誰に聞いてもわからない、「自分にとって大切なこと」をはっきりとさせる。そんな時間を持とう。

どこかに旅行する際に、バッグに荷物を詰める。できるだけたくさん詰めようと、スペースを考え、効率よく荷物を詰めることに意識が向く。
でも大事なのは、いかに荷物を詰めるのかより、どれだけ充実した旅行をするかだ。

(ライブラリアン:結縄 久俊)
 
 
 アカデミーヒルズのポッドキャストでも
ご紹介しています。



 

限りある時間の使い方

オリバー・バークマン
かんき出版