六本木ヒルズライブラリー

ライブラリアンの書評    2022年4月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?




歴史を知れば、悩みは吹き飛ぶ。
もっと歴史を、学びたくなる。

日々生活をしていれば、どうしても生じる悩みごと。それは大きなことから些細なことまで様々です。そんな悩みごとの解決に、歴史が有効とは?

歴史を学ぶことで得られるのが「メタ認知」。それは「今の自分を取り巻く状況を、一歩引いて客観的に見る」視点です。世阿弥でいうところの「離見の見」を駆使し、歴史に照らして今の状況を見れば、「今の悩みは、たいしたことない」と思えるかもしれません。

歴史を学ぶことで、社会を規定している価値観がどのように作られたかがわかり、今の「当たり前」が必ずしも当たり前ではないことがわかります。例えば現代では、人を殺すことは絶対にしてはならないことですが、例えば戦国時代などは、兄弟同士での争いや、親が子供を殺すことなどは当たり前にされていました。また江戸時代でも、生活していくための口減らしとして、子供を殺したりもしていました。現代における「人を殺すことは絶対にいけない」という価値観も、歴史に照らせば「絶対」ではないのです。

歴史的な視点・視野から今を見直して、「当たり前」を再確認してみる。変化が激しく、新たな価値観が再定義される現代の指針として、誰かが描いた地図ではなく、「歴史思考」を通した羅針盤を得てみよう。

ポッドキャストの人気チャンネル、「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」の深井龍之介さんによる初の著書。日々耳から学んでいるチャンネルの書籍化に、本を通してより深く、「面白く学ぶ」ことができました。

(ライブラリアン:結縄 久俊)
 
 アカデミーヒルズのポッドキャストでも
『歴史思考』のご紹介をしています。ぜひお聞きください。




 

世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考

深井龍之介
ダイヤモンド社