六本木ヒルズライブラリー
ライブラリアンの書評 2020年12月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?
スマホの写真、プリントしてますか。アルバム、作ってますか。
iphoneの登場は2007年。スマホの浸透は、「写真」の概念をすっかり変えました。それまで写真を撮る習慣がなかった人も、スマホでシャッターを切る機会は増えたはず。ただ、撮った写真を実際にプリントし、アルバムにまとめることは、なかなか億劫。データで残っているから大丈夫と、プリントまではしないのが実際ではないでしょうか。
iphoneの登場は2007年。スマホの浸透は、「写真」の概念をすっかり変えました。それまで写真を撮る習慣がなかった人も、スマホでシャッターを切る機会は増えたはず。ただ、撮った写真を実際にプリントし、アルバムにまとめることは、なかなか億劫。データで残っているから大丈夫と、プリントまではしないのが実際ではないでしょうか。
ただ、データを保存するDVDやSDカードといったデジタルメディアも、モノである以上、寿命があります。データがダメになれば、復旧は難しいかもしれません。一枚の写真としてプリントしておけば、たとえ劣化したとしても、見える形として残ります。
写真をプリントすることの大切さ。アルバムというモノに残していくことの重要さ。それは失ってみて、初めてわかるのかもしれません。
自然災害によって被災した写真やアルバムを「写真洗浄」で救う人たちの姿が綴られた本書。被災した家屋において、皆が探したもの、それはお金や印鑑や通帳、ではなく、写真やアルバムだったそうです。見つかった写真やアルバムを洗浄して、持ち主の元に戻すという活動が、今なお全国で続いています。洗浄された写真やアルバムを見に来た人が、その膨大な写真の中から自分に関係のあるものを見つける。「あった!」という瞬間は、まるで宝物を見つける感覚に近いそう。知ってる誰かが写った写真。それは何事にも代えがたく、実際にプリントされた写真だからこそ持つチカラです。
この年末年始、スマホに溜まった写真を厳選して、プリントして、一冊のアルバムを作ってみませんか。そのアルバムは時間をかけて、かけがえのないものになっていくに違いありません。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
アルバムのチカラ 増補版
藤本智士【著】浅田政志【写真】赤々舎
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