六本木ヒルズライブラリー
ライブラリアンの書評 2019年8月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?
新たなアイデアを生み出したいとき、皆さんはどうしていますか?
誰かと話す、散歩に出る、じっくり湯船に浸かる。あるいは「発想」「アイデア」といったワードで本を探す。いずれももちろん有効ですが、今回は別のベクトルからの方法をご紹介。
書棚で不思議な輝きを放っていた本書。手に取りページをめくると眩暈、まるでくらくらするような「想定の遥か外」の衣装に身を包む人たちの姿が次々と。世界各地の民族衣装や祭礼のコスチュームを撮影するフランスの写真家、シャルル・フレジェによる写真集です。
タイトル「CIMARRON」とは、16世紀から19世紀の新大陸植民地において、奴隷貿易がされていた際の黒人逃亡奴隷のこと。奴隷としてアフリカから南北アメリカに連れてこられた彼らが、自身のルーツにある宗教・文化を伝承するために、色彩豊かな仮面や衣装に身を包んできたのだそう。
奇抜な衣装を身に着け堂々と、あるいはお道化て写る彼らの「想像力の奔放さ」に驚かされると同時に、強引に思考の外枠を揺さぶられ、外される感覚がします。
オールジャンルの書籍を取り揃えるライブラリーで、あえて普段手に取らないような本を手に取れば、未知の発見が待っている。それが新たなアイデアを生み出すきっかけになるかもしれません。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
CIMARRON
シャルル・フレジェ : 神奈川夏子青幻舎インターナショナル
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