六本木ヒルズライブラリー
ライブラリアンの書評 2018年9月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?
タイトルを見てドキッとしました。「自分は劣化するオッサンになっていないか?」。43歳の私、もういいオッサンです。「劣化しているか?」と問われると「そんなことはない!」と言いたいところですが、身体は重くなり物忘れも頻繁で、スペックとしての劣化は否めません。
本書によれば「オッサン」とは、いわゆる男性のある一定の年齢層を指すのではなく、「ある特定の人物像」として定義する、とあります。
1:古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する2:過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない3:階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る4:よそ者や異質なものに不寛容で、排他的
性別・年齢層にかかわらず、そのような態度である、ということ。先日後輩と話していた際、ふと自分が「古い価値観にしがみついている」ことに気付いたことがありました。それは思えば「オッサン」であるに違いなく。
組織は世代交代を経るごとに劣化する、という組織構造自体の問題。オッサンは尊重すべきという幻想を捨てよ、といった古き慣習の指摘。オッサン化する社会のメカニズムを、箴言交えてドローンよろしく、視点が自在に飛び交う論考が痛快です。
人生100年時代という未知なる未来はいわば現代。ビジネス書大賞2018受賞の前著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』で「VUCA」時代を生き抜くための「美意識」を説いた著者が、日本社会を取り巻く「オッサン化」に警鐘を鳴らします。
人生100年時代という未知なる未来はいわば現代。ビジネス書大賞2018受賞の前著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』で「VUCA」時代を生き抜くための「美意識」を説いた著者が、日本社会を取り巻く「オッサン化」に警鐘を鳴らします。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
劣化するオッサン社会の処方箋—なぜ一流は三流に牛耳られるのか
山口周光文社
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