六本木ヒルズライブラリー
ライブラリアンの書評 2018年8月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?
○ コンテンツって、そもそもなんだろう?
たとえば書棚を眺めてみれば、書籍一冊一冊が独立したコンテンツであることはもちろん、「ライブラリーの書棚」それ自体もひとつのコンテンツです。日々触れる情報、テレビ・新聞・ラジオ・Webの記事、広告も音楽も動画もゲームも、言ってしまえばコンテンツ。すなわち日々触れる情報のあらゆるは、すべてが「コンテンツ」と言えます。
では「コンテンツってそもそもなに?」と問われると、いまいち言語化がしにくいところ。そこでTV業界からクラブシーンまで、様々な業界のコンテンツプロデュースを手掛ける著者が、素直に真摯に「コンテンツ」について考えます。
○イメージを明確に
まずは「狭める」こと。「日本で売っているクレープ」といわれてもピンときませんが、「原宿で売っているクレープ」であれば、イメージがしやすいですよね。「原宿で今年一番売れている最新クレープ」とさらに狭めることで、イメージがより明確になり、「食べてみたい」と購買意欲をそそることで価値を生むことになります。わかりやすいネーミングの商品やTV番組も、受け手にとっての分かりやすさを明確にしています。
○テクノロジーの進歩とともに
以前はコンテンツを世に届ける役割を、テレビや出版社といったマスメディアが担っていました。ですが現代は、ネットやSNSにより、一個人が世界中にコンテンツを届けることができるようになっています。YouTuberもブロガーも、日々コンテンツを制作し、世界に向けて情報を発信しています。近い将来、VRやARでのコンテンツ制作が容易になれば、VRer・ARerといった職業が生まれることもあるでしょう。
○想いを込めて、想いを伝える
様々なコンテンツに日々触れている受け手は「自分にとって有効かどうか」を、ファーストインプレッションから、タイトルのネーミングから読み取り、必要無いと判断すれば、すぐさま次のコンテンツに移動してしまいます。コンテンツは人が創り、人に渡すもの。だからこそ大切なのは、そこに想いが、熱量が込められているかどうかです。
コンテンツ作りに関わる人も、そうでない人も、「コンテンツとはなんぞや?」を今少し深く知り、自らのものとして言語化することで、より良き受け手に、より良き作り手になることができそうです。
では本書のタイトルにある「人がうごく」ためのコンテンツ作りとは?
それはぜひ本書を手に取り、本書に込められた想いを感じつつ、紐解いてみてください。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
人がうごくコンテンツのつくり方
高瀬敦也クロスメディア・パブリッシング
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