六本木ヒルズライブラリー
ライブラリアンの書評 2018年4月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?
人生を戦略的に
2020年、大きな節目を迎える日本。東京オリンピック・パラリンピックの開催を経てさらに先の時代になれば、2010年代が懐かしくなるような、新たな時代が来るのでしょう。時代の変化が肌感覚で感じられる今、働き方は柔軟な方向にシフトしつつあり、兼業・副業を認める企業も増え、雇用形態も多様化しています。では自分はどうなるだろう? 時折自覚的になりつつも、日々のあれこれにかまけて考えることはつい先送りになりがち。けれども時の流れは待ってはくれません。
人生100年時代と言いつつも、そもそも100歳の自分のことを想像できるでしょうか? 数年先どうなっているかもわからないような先の読めない時代に、ちょっとそれは難しいような。ただ、漠然と日々を過ごすわけにもいきません。日々を懸命に、かつ鳥瞰的・柔軟な計画性で「人生を戦略的に」とらえて先に向かうことが大切です。
「ニューエリート」それは人生を謳歌する人
今回紹介する書籍『ニューエリート』の著者・ピョートル氏は、当時社会主義国だったポーランドに生まれ育ち、住んでいた地域の失業率が急に100%になるなど、いつ何が起きるかわからない中で、時代の流れを読み、新しい生き方を探し続けてきました。
ピョートル氏が本書で説くこれから必要な心構えは、「持続的に成長をし続け」「直感で決断し、素早く行動し」「遊ぶように仕事をする」こと。
自分の「好き」を見極めて、そのための学習を怠らないことで成長し続ける。「なにもしないまま時間だけが過ぎていく。それを恐れるべき」で、素早い決断と行動が必要。そして遊ぶようにダンスするように仕事をする。本書はそのための示唆に富んでいます。まるで羅針盤のよう。
あなた自身の人生の地図を描くのはだれ?
あらゆる機会を自らの学びとし、学ぶためのフックを持ち続け、日常の習慣にしてしまう。自らに訪れた仕事、タスク、問題を好機ととらえ、より良い形にして次に渡す。疲れたらしっかり休む! ひととき仕事から離れれば、また新たな視点が得られます。
いかなる時代であろうとも、めくるめく「今」が常に最前線。歴史が示すように、その時々で時代の流れを読み、時に無謀とも思えるような決断と行動をし続けてきた人が、時代を切り拓いていきます。自分が見たい世界を見るために、自分の得意を見極め武器にし、誰も見つけていないような新たな価値を生み出すこと。その価値を自らに抱え込むのではなく、惜しみなく与えていくこと。
あなた自身の人生の地図を描くのはだれ?
「わたし以外にだれがいるでしょう!」と、胸を張って応えることが、まずはニューエリートの条件かもしれません。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち
ピョートル・フェリクス・グジバチ大和書房
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