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「地球食」の未来を読み解く

地球と人類との“共進化”に向けて:竹村真一

BIZセミナー教養文化
更新日 : 2015年04月01日 (水)

第9章 未熟だからこそ、人類はさらに進化できる


 
「触れる地球」を全国の小学校に

会場からの意見: 「触れる地球」を拝見し、感動しています。人間は飛躍的な進歩を遂げてきた一方で、現在は地球に迷惑をかける存在ともなっています。現代の子どもたちにも、ぜひこの地球儀に触れてもらい、私と同じ感動を味わってほしいと思います。

竹村真一: ありがとうございます。2005年の「愛・地球博」を皮切りに、国連やダボス会議、サミットなど、さまざまな場所でプレゼンテーションを行ってきました。しかし、日本にはまだ十数台しか置かれていません。本当は、小学校や地域の図書館など、子どもたちの身近な場所に当たり前のようにあってほしいのですが……。たとえば、クラウドファンディングのような仕組みを活用し、卒業生の方々が出身小学校に寄贈する、といった流れが生まれれば嬉しいですね。

薄羽美江: 「触れる地球」を使って世界中の子どもたちが学ぶようになれば、あらゆることがガラリと変わっていくはずです。

竹村真一: 本当にそう思います。もう1つ、人間は進歩しすぎて地球を破壊しているのではなく、未熟すぎて地球を破壊しているのだと、私は考えています。つまり、人間はまだ幼年期であると思うのです。

たとえば、LED以前の電球は、投入エネルギーの1%程度しか活用されていません。発電所で電気をつくる際、投入エネルギーの3、4割がロスとなり、送電時に2、3割のロスが生じています。私たちは「光」を求めているだけなのに、それを得る過程で投入エネルギーの99.3%を熱として無駄に放出しています。いわば100隻のタンカーで運んできた石油の、99隻分を捨てているようなものです。これほどエネルギー効率の悪い社会を、我々は文明と呼び、誇ってきたわけです。

ならば、なぜ地球は人類という迷惑な存在を、いつまでも生かしているのか? それは、地球に対してポジティブな役割を果たし得る可能性をもっているからではないでしょうか。現代の若い人たちは「科学技術は進歩したのに、いまだに地球に大きな迷惑をかけている。もう、自分たちにできることはない」と、無力感をもっているかもしれません。私は「そうではない」と言いたい。できることは山ほどあります。見方を変えれば、未熟だからこそ、大きな「伸びしろ」があると思うのです。

20世紀までのモードを捨て、地球と共進化していく未来をデザインする。そのためにはまず、地球や人類の過去・現在を知ることが大切です。そこから、強い意志をもって未来をデザインしていく。次の世代に、負の財産を残すわけにはいきません。私たちは、アクションを起こすことで幼年期を卒業し、一人前の「地球人」として未来に夢と希望を受け継いでいくことが大切だと思います。

薄羽美江: 皆さんもぜひ、「触れる地球」を通じて地球の過去・現在・未来を俯瞰しつつ、地球価値創造(CPV)の実現に向けたアクションを起こしていただきたいと思います。(了)




気づきポイント

●地球や宇宙とのつながりを、五感を通じてリアルに体感することが、「地球人」への第一歩。
●「地球価値創造」とは、価値をシェアする範囲を地球全体にまで広げること。
●人間はまだ未熟な存在。だからこそ、地球の未来を変える大きな可能性にあふれている。

該当講座

2014年 第2回 未来の地球の「食」を読み解く
竹村真一 (京都造形芸術大学教授 / Earth Literacy Program代表)
薄羽美江 (株式会社エムシープランニング代表取締役 / 一般社団法人三世代生活文化研究所理事)

ゲスト講師:竹村真一(文化人類学者/京都造形芸術大学教授)。6月15日(日)まで東京ミッドタウン21_21 DESIGN SIGHT で開催されている『コメ』展を、グラフィックデザイナー・佐藤卓氏とともにディレクションされた文化人類学者・竹村真一氏(京都造形芸術大学教授)を迎え『触れる地球ミュージアム』に込める想い、そして地球の「食」の未来についてお話いただきます。


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