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「くまモン」『聞く力』にみる、魅力の引き出し方

阿川佐和子×水野学 対談

更新日 : 2014年07月11日 (金)

第8章 阿川佐和子流「妄想のススメ」

写真左:阿川佐和子(作家・エッセイスト)/写真右:水野学(クリエイティブディレクター/good design company 代表取締役/慶應義塾大学特別招聘准教授)

 
豊かな発想力を養うための方法

水野学: 阿川さんのように日頃から様々な方にお会いし、ご自身も第一線で活躍されている方が、いま最も気になっていることは何でしょう?

阿川佐和子: 「妄想」でしょうか。たとえば、魔女が登場する本を読み、「魔女って本当にいるのかな? 隣のおばあちゃんは魔女っぽいな。もしかしたら…」と、自分が見聞きしたことを起点に様々な思いを巡らせ、世界を広げていく。誰でも小さい頃は、様々な妄想を働かせていたと思います。しかし現代人、特に子どもにはそうした時間が少なくなっている。

水野学: たしかに、図書館に行かずとも、ネットで検索すれば答えらしきものがすぐに出てきますし、ほとんどのものは画像や動画でリアルに見ることができます。

阿川佐和子: 大切なのは、答えが見つかるまであれこれ妄想し、自分なりの発想力を高めていくことだと思うのです。インタビューを通して様々な方とお話ししていると、たくさん妄想する人は、現実の世界でも突き抜けた活動をされていることが多いと感じます。

水野学: 妄想は、やろうと思えばいつでも簡単に発動できますし、頭のなかだけで考えるだけですから、誰にも迷惑はかけません。妄想から何かを感じとる回数が多いほど、頭や心は豊かに育っていくと思います。


阿川佐和子: たとえば、ある子どもが「アイツは本当に嫌なヤツだ。今度殴ってやる」と思ったとします。しかし、「待てよ、殴ったら血が流れる。そうしたら、掃除しなきゃならない。だったら、雑巾をもっていったほうがいいかな?」などと妄想を膨らませているうちに、「これは結構大変だな」と、抑えがきいてくるはずです。それは妄想する時間があるからこそ。けれども、ニュースなどを見ていると、妄想する時間がなかったのだろうなと思われる事件が増えています。

妄想することで相手を思いやる気持ちが育まれていく、そんなコミュニケーションがあると思うのです。ですから、みなさん、もっと妄想したほうが良いですよ。そして、次回の六本木アートカレッジは、ぜひ、J-WAVE presents「妄想のススメ」としてお送りしたいと思います!

水野学: 阿川さんの発想はすごく面白い。僕はよく社員に「有名になりなさい」と言っています。有名になれば、阿川さんのような面白い人とコミュニケーションすることができる。たくさんの面白い人に出会えるよう、僕も皆さんももっと精進しましょう!

阿川佐和子: タイトルに関係ない話で締めてしまいましたが、水野さん、どうもありがとうございました。

水野学: こちらこそ、たくさんの楽しいお話をありがとうございました。(了)

気づきポイント

●デザインの第一歩は、「聞く」を通じて人やモノの裏側にある本質的な魅力を徹底的に探ること。
●アピール疲れの時代に求められるのは、「人の話をひたすら聞く」というコミュニケーション。
●デザインの先には必ず他者がいる。だからこそ、聞くことや、相手を思いやる気持ちが重要になる。

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