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世界が注目! 舘鼻則孝が描く日本文化の未来

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更新日 : 2014年06月30日 (月)

第8章 何を通じてコミュニケーションしたいのか?

舘鼻則孝(アーティスト)

 
時代を切り拓く作品を生み出すために必要なこと

舘鼻則孝: 冒頭で申し上げた通り、皆さんにお伝えしたいことは「自分のモノサシをもち、自分の目でものを見て判断し、自分なりの意見を言えるようになってほしい」です。テレビや雑誌で紹介されているから、ネットの世界ですごく人気があるから「良い」ではなく、自分なりの価値観でさまざまなものを見極めてほしいと思います。

「僕はアーティスト」「私はアーティストではない」といった単純な構図で物事を捉えていては、自分なりの価値観は育たないでしょう。アートであれば、作品を見せる側も、作品を見る側も、1人の人間としての価値は同じです。アーティストがアーティストたりうるためには、必ず見てくれる人が必要だからです。皆さんもアーティストと同じように誇りと責任を感じながら、たくさんの作品を見てほしいと思います。

自分なりの価値観にもとづいて意見を言うことは、少々勇気のいることでもあります。大勢の人とは違う意見になってしまうこともありうるからです。その意味でも、僕の作品を最初に認めてくれた人は、勇気のある人だったと思います。「なぜ、そんなヘンテコな靴がいいの?」と、周囲から言われてしまうリスクがあるなかで、自分の意見を言ってくれたからです。

過去を振り返れば、歴史の新しい1ページを刻んだと言われる作品は、批判と賞賛の両極端を経験したものが多いと思います。僕もある意味、両極端を経験しています。大学の先生はまったく評価してくれず、メールを送信した100人ほどのファッション関係者のうち、90人以上からは返信が届かなかったからです。批判よりは、無視に近いかもしれませんが…。


最後にもう1つ。いま、僕と皆さんは言葉を通してコミュニケーションしています。また、僕が靴を作り誰かに履いていただくこともコミュニケーションです。アーティストが作品を作り、それを見た人が何かを感じることも、同じくコミュニケーションです。皆さんは、どのようなものを通じてコミュニケーションしようとしていますか?

自分を深く掘り下げて考えていけば、必ずどこかで自分のアイデンティティに突き当たります。そこから、自分にしかできないコミュニケーションの方法を見つけることができれば、新たなクリエーションが生まれ、何かを成し遂げられると思うのです。皆さんも、未来の世界で伝統や文化と呼ばれる素晴らしいものを、ぜひ創り出してください。(了)


<気づきポイント>

●同じ武器で戦うのではなく、「自分らしさ」を武器として、世界と勝負をする。
●過去を深く掘り下げることで、自分の進むべき道は見えてくる。
●「アイデンティティ」「時代の最先端」の融合が、未来の伝統を創り出す。

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