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ハフィントンポストは日本で新たな言論コミュニティを形成できるか?

松浦編集長が語る、ネットメディアの課題と未来

経営戦略政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2014年03月31日 (月)

第11章 ウソの情報はいずれ修正される

松浦茂樹(ザ・ハフィントン・ポスト日本版 編集長)

 
ユーザー視点で情報を見る

会場からの質問: 現在、日本のメディアのあり方が行き詰まっているなか、ハフポストに楔を打ち込んでほしいと期待を持っています。団塊ジュニア層の編集者と記者、ブロガーを中心に構成されているそうですが、同世代の似たような意見だけで議論され、結局は多様性のある議論に発展しないように感じました。

松浦茂樹: たとえば、雪だるまを作るにしても、コアがしっかりしていなければ、大きな球にはなりません。そうした意味で、団塊ジュニアの編集者や記者、ブロガーさんを集めています。もちろん、コアに集中し過ぎてしまえば、偏った議論を行うメディアになる可能性もあります。私たちとしても、多様な視点から議論を大きく広げていきたいと考えており、様々な世代の方々の意見も重視しています。創刊2カ月のいま、まずはメディアとしてのコアを確立する。その後、大きな雪だるまが作れるよう、注力していきます。

会場からの質問: 情報の出所自体が操作されている危険性もあるのではないかと考えています。そこから議論がスタートしてしまえば、事実とは違うものを対象として語り合い、結果的に言論の方向性が間違った形で構築されてしまうように思います。新しいニュースメディアとして、そうしたことを防ぐ取り組みはされていますか?

田端信太郎: まずは私からお話しします。情報操作は、事実としてあると思いますが、私たちが受け取る情報を総体的に見ても、陰謀論的に操作された情報ばかりだとは思いません。むしろ、膨大な数の情報を逐一操作できるのかという気もします。

松浦茂樹: 情報の信ぴょう性を疑い出せば、キリがありません。しかし、従来のメディアと比較すれば、ネットメディアの世界は、情報の伝達過程やユーザーの声も可視化されています。従来のトップダウン型の情報伝達をネットに持ち込むこともできますが、私たちはそうではなく、できる限りユーザーの視点に立ち、情報を見定めてから発信していきたいと考えています。

田端信太郎: 「少数の人を長くだますことはできるし、たくさんの人を短い間だますこともできる。ただし、たくさんの人を長くだまし続けることはできない」。リンカーンの言葉だそうですが、インターネットの世界こそ、まさしくその通りだと思います。

ページビューを一気に増やすテクニックはたくさん存在します。それでも私や松浦さんは、ユーザーを軽んじてはいません。やはり、テクニックはどこかで限界に突き当たり、やがて見破られてしまいます。上から目線でユーザーを語ることほど、危険なことはない。そうしたことをしていれば、災いとなって自分に跳ね返ってくると思っています。

松浦茂樹: ネット上のフェイクネタは、最初は皆だまされますが、途中で誰かが気付いて指摘し、最終的に正しい情報へと修正されます。私自身も仕事を通して、そうしたケースを数多く見てきました。ウソを含む情報はいずれ見破られ、修正される。私はそう信じています。(了)

セミナー終了後、希望者とのアフターセッションを行い議論を深めました。
セミナー終了後、希望者とのアフターセッションにて

<気づきポイント>

●ハフポストは、世の中を変えていく当事者(団塊ジュニア)のリアルな声を顕在化するメディア。
●常にユーザー目線で争点を抽出し、「議論」と「アクション」のサイクルを回転させていく。
●政治に対して影響力を発揮していくことが、ネットメディアに求められる役割になる。

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~話題のニュースサイト日本上陸から2ヶ月、松浦編集長が語る「仕掛け」と「挑戦」~

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松浦茂樹 (ザ・ハフィントン・ポスト日本版 編集長)
田端信太郎 (LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長)

松浦茂樹(ザ・ハフィントン・ポスト日本版 編集長)
田端信太郎(LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長)
日本版ローンチから2ヶ月を経たからこそ見えてきた、現状、課題、今後の仕掛けなど松浦氏に伺います。また、ネットメディアのプロフェッショナルお二人ならではの視点で展開される対談を通じて、企業にとってのコミュニケーションツールとしての可能性や、ネットメディア全体の未来について考えます。


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