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世界が見た日本「東日本大震災は日本をどう変えるか」

ジェラルド・カーティス教授が語る、日本の現在・過去・未来

ライブラリートーク政治・経済・国際
更新日 : 2011年06月27日 (月)

第7章 この素晴らしい国に、もっとまともな政治を!

ジェラルド・カーティス氏

会場からの質問: 今、世界中で原発反対運動が起こっていますが、危機管理体制をしっかり整えれば原発の利用は問題ないと思いますか?

ジェラルド・カーティス: おそらく今、世界の多くの人たちは「原発だけは勘弁してくれ」という気持ちではないでしょうか。「原発は安全だ。危機管理体制もちゃんとしている」と言われても、「じゃあ我々が住んでいる所につくっていいですよ」と言う人がいるかというと、ほとんどいないと思います。

アメリカはスリーマイル島の事故から30年間、原発をつくれませんでした。オバマ大統領は原子力発電所をつくる方針ですが、とてもできないと思います。中国は建設計画を一応凍結しましたが、そのうち再開すると思います。しかし、先進国ではなかなか原発はつくれなくなるでしょうから、エネルギー政策を考え直さなければなりません。

日本は今、電力の30%を原子力でまかなっていますね。これをゼロにすることは不可能だけれど、新しい原子力発電所は当分つくれないと思います。また、稼働中のものは安全性を確認するために一度止めたら、再稼働するのは非常に難しくなるでしょう。ですから原子力でまかなう比率は随分減ると思います。私は、今回は(2011年)7月末まで東京にいるつもりですので、この夏はすごく暑いだろうと心の準備をしていますが(笑)、やはりクリーンエネルギーなど、ほかの方法を考えなければいけないんです。

日本人は「節約しよう」と言われると、みんなよく節約しますね。成田では、エスカレーターもウォークウェイも止まっていました。夜の六本木や銀座はネオンを消しているから暗い。本当は消したくないけれど、消さないと批判されるから仕方なく消すという店もあるでしょうが、そういう社会風土があるから日本はエネルギーを効率的に使うと思います。しかし、それでもエネルギー政策を考えなければならないのです。今、中東のいろいろな国で革命が起こっています。もしサウジアラビアが政治的におかしくなったら石油も来なくなるので、新しいエネルギー政策は必要です。

会場からの質問: アメリカの新聞に、白雪姫がリンゴを差し出すおばあさんに「あなたは日本から来たの?」と聞くという一コマ漫画が載っていました。アメリカでは、日本の食べ物に対する不安が広まっているのでしょうか。

ジェラルド・カーティス: 私はその漫画のことは知らないのですが、不安が広まっているのは食べものだけではありません。例えば今、日本車を輸出すると、アメリカの港で放射線量を測定されます。そんなばかな話があるんです。ただ、これは長い間の問題にはならないでしょう。自動車を買っても被曝しないということが、そろそろみんなわかります(笑)。しかし、食べ物これに対しては結構敏感になっています。

そういう意味では「ジャパンブランド」は非常にダメージを受けたのですが、日本というこの国のブランドイメージはアップしたと私は思っています。冒頭でお話しした日本社会の絆や日本人の価値観というのはそのことです。ハリケーン・カトリーナのときは、ニューオリンズで強姦や殺人事件などが起きましたが、そういうことが日本では起こらなかったので、アメリカには日本がうらやましいという気持ちの人が非常に多いのです。

たぶん今回のことで一番びっくりしたのは日本人自身で、「日本は捨てたもんじゃない」と思った人が多かったと思います。ですからこれで日本人も日本にプライドを持って「こんなに素晴らしい国なのだから、もうちょっとましな政治家がいてもいいじゃないか」という怒りで、政治家にハッパをかける必要があると思います。(終)

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