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時代が求める人間像~知の構造化と課題設定能力~

東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラムの挑戦

教養キャリア・人
更新日 : 2011年04月25日 (月)

第7章 You don't know what you don't know.

小宮山宏氏

小宮山宏: EMPはたぶん、世界でトップの文系とトップの理系が一緒にやっているところだと思います。「いろいろな問題をやるときに、ソーシャルサイエンスが重要なんだ」ということは、もうみんなわかっています。社会をつくっていこうっていうんだから、ソーシャルサイエンスが重要に決まってる。けれどそれに成功している国はどこもないんです。社会学者や文学者や心理学者たちが入ってくれないと困るんだけれど、それに成功しているところはどこもない。

なぜかと言うと、先生たちがみんな保守的だから。教授にはそれぞれ自分のやり方があって、それを新しい問題に適用することしかしないわけ。だから若い人に高齢化社会や環境や炭素の問題を一緒にやってもらうことだと思います。その中から新しいソーシャルサイエンスというのが生まれることを期待するほうが、僕は正しいんじゃないかと思うんです。

山田興一:  EMPは今度(2011年の春)第6期を迎えますが、いまや卒業生がモデレーターをやって、教授に「こういう話題で、こうやってまとめると、こっちとつながります」とかやるんです。だから先生方も、小宮山総長のときとはだいぶ変わってきています。東大の教授は准教授を入れると3,000人ぐらいいますが、そのうち150~200人ぐらいがEMPのチームです。これはかなりの割合ですから、大学の中からも変わっていっているということです。

小宮山宏: 僕は最初から、「めだかの学校」じゃなきゃダメだって言ってきたんだよ。今までは「スズメの学校」で、先生が「ムチを振り振りチーパッパ♪」。「めだかの学校」というのは「だれが生徒か先生か♪」。ここが重要。

テレビに出るような調子で講義をしても、相手(受講生)もプロなわけ。例えばファイナンスの講義をしたら、生徒自身がファイナンスをやっている人たちなんです。だからそういう人たちと切磋琢磨する、つまりこれは、大学も成長していくということなんです。僕はさっき「参加型民主主義」って言ったでしょ。これもそういうことで、社会の人が参加しなくて大学だけよくなるってことはあり得ないんです。

横山禎徳: だからEMPには、やっぱりいい人に来てもらいたいわけです。そうすると先生が緊張してしゃべられる。しかも山田先生と私が怖い顔をして座って聞いているから、「次の回も同じじゃまずいな」という感じもあるしね。受講生と先生の間の緊張感が、次の回、次の回とだんだんレベルが上がっていくという感じです。

受講生は40代が多く、大体が「世間を知っていてバリバリで、自分は優秀だからこのままいけそう」という感じの人たちです。だから最初に「あなた方は“You don't know what you don't know.”だよ、 何を知らないか知らないんだよ」と言うと、「本当かな?」という感じですが、「講義を聞いているうちに、目からうろこが1,000枚ぐらい落ちました」みたいな状況になっていきます。それが緊張感につながり、先生も自分のフィールドをえて発言するようになってきています。(終)

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該当講座

時代が求める人間像

~知の構造化と課題設定能力~

時代が求める人間像
小宮山宏 (東京大学 前総長、総長顧問、EMP チェアマン 株式会社三菱総合研究所 理事長)
山田興一 (東京大学 総長室顧問 EMPコ・チェアマン)
横山禎徳 (東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大 EMP)企画・推進責任者 社会システムデザイン研究所ディレクター・社会システムデ ザイナー)

小宮山宏 (東京大学 前総長、総長顧問、EMPチェアマン 株式会社三菱総合研究所 理事長)
大きな変革期を向えた今、これまでの延長線上に解の得られない時代に求められるリーダー・人間像とは?東京大学前総長であり東大EMPチェアマン小宮山宏氏にお話頂きます。
後半は山田興一氏(東大総長室顧問)、横山禎徳氏(社会システムデザイナー・東大EMP企画推進責任者)による鼎談があります。


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