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読みたい本が見つかる、「カフェブレイク・ブックトーク」

更新日 : 2010年09月24日 (金)

第8章 北大路魯山人という美食家

六本木ライブラリー カフェブレイクブックトーク 紹介書籍

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澁川雅俊: 北大路魯山人がサヴァランに比されることがあります。魯山人もまた旨いものを追求した一人であることに違いありませんが、サヴァランとは異なった方法で、それをしています。この人はもともと書家からスタートし、やがて陶芸家となり、古美術商を営んだり、料亭の顧問をするなどして、日常的に美的生活に耽溺していった芸術家でした。

本人も旨いものを哲学的に追求していますが、サヴァランと異なり、『魯山人味ごよみ』(平野雅章著、95年廣済堂出版)や『魯山人の美食』(山田和著、08年平凡社新書)などを読みますと、自ら旨いものを創ることを実践した人です。魯山人は、普通の食べもの、例えば納豆でも、白菜でもどう食べたらより旨いかに凝りに凝ったようですが、陶芸家のセンスからそれらを盛りつける器も凝ったようです。『野に遊ぶ魯山人』(梶川芳友文・稲越功一写真、03年平凡社)には京都現代美術館所蔵の魯山人作の食器の数々が掲載されています。

たしかに食器で食べものを引き立たるということも旨いものを食べる、あるいは食べさせる秘訣ですが、さしずめ展覧会目録『国立エルミタージュ美術館所蔵エカテリーナ2世の四大ディナーセット』(09年東京都庭園美術館)や『華麗なるマイセン磁器』(04年栃木美術館)を手にすると洋食についてもそれが頷けます。

最後に

ところで料理人徳岡邦夫(京都吉兆の三代目)は、『プロフェッショナルの言葉』(NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班著、10年幻冬舎)で、この枯淡の一言を残しています。「この世で一番おいしいのは、炊きたてのごはんですよ」。そしてもう一つ、『超訳 ニーチェの言葉』(F・ニーチェ著、白取春彦訳、10年ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中からこの所見を紹介して、今回のブックトークのおちにしましょう。

「今では享楽者とか快楽主義者という誤解された意味でのみ使われている“エピキュリアン”という言葉だが、その語源となった古代ギリシアの哲学者エピキュロスは、生きていくうえでの快楽を追求した。そしてたどりついた頂点が、満足という名の贅沢だった。その贅沢に必要なものは、しかし多くはなかった。すなわち、小さな庭、そこに植わっている数本のイチジクの木。少しばかりのチーズ、三人か四人の友達。これだけで、彼は充分に贅沢に暮らすことができた。」(026【満足が贅沢】)(終)

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