オピニオン・記事

私とは何か?~自分探しの立ち位置~

読みたい本が見つかる「カフェブレイク・ブックトーク」

更新日 : 2010年01月29日 (金)

第6章 文字の発明と書物の出現

六本木ライブラリー カフェブレイクブックトーク 紹介書籍
澁川雅俊: およそ5千年前に人類は文字を使い始めます。文字を使って私たちは、私たちを取り巻くあらゆるものごと、すなわち森羅万象について書き遺し始めます。つまり書物がこの世に現れます。

●歴史書

このブックトークで取り上げてきた本の流れからすれば、歴史書がその流を引き継ぐことになります。歴史書(神話を含む)が書かれ始めた頃は、その当時の人びとによって知られていたものごとのすべてが含まれた百科全書的な本でした。

そしてそれ以降、これまでに世界史、地域史、各国史、地方史等など万巻の歴史書が書かれてきました。が、ここでは次の1点のみ挙げておきます。『ビジュアル大世界史』(K. ベルンドル他著、07年日経ナショナルジオグラフィック社)。この本には、文字を使い始めた頃から現在に至るまでの世界の主なできごとが年代順に書かれています。その類型の本で日本史に関する本は、20年ほど前に出された『日本全史 — ジャパン・クロニック』(宇野俊一他編、91年講談社)があります。

●テーマ別歴史(経済史、政治史、文学史など)

歴史については、テーマ別歴史書もたくさんあります。それらは普段、経済史とか、政治史とか、文学史などと類別されています。

例えばここに、『10万年の世界経済史〈上・下〉』(G・クラーク著、久保恵美子訳、09年日経BP社)があります。経済は、人びとが生きるために新約聖書マタイ伝に書かれている麺麭を獲得する営みであるとしていいでしょう。この本にはこんなことが書いてあります。人類発生以来長いことその営みは苦労の積み重ねでしたが、産業革命以降その営みが高度に発展するにつれて人びとの暮らしは豊かになってきた。ただしそれは世界的には一部の地域の人びとについて言えることで、世界的にそうなったわけではない。それはなぜなのか。また人びとが暮らしの上で「幸せ」を感ずる度合いは所得の増加など経済的発展とかかわりが深いと考えられがちだが、必ずしもそうでもないというデータがある。それはなぜなのか。

「自分探し」には経済的環境が深くかかわるものと考えられますが、そういう観点で〈立ち位置〉を定めるときにこの本は参考になります。

●すべての書物は「自分探し」の〈立ち位置〉を示唆

いま世の中にさまざまな種類の本があります。フィクションとかノンフィクション、人文科学書、社会科学書、芸術書等など、大衆書とか一般書とか専門書あるいは学術書とか、児童書とかのジャンルに数え切れない程の本があって書店や図書館に置かれています。書店や図書館ではそういうジャンルやもっと細分化されたテーマに分類されて置かれているのが普通なので、私たちは一点一点の本のジャンルやテーマごとに関する別々の本として認識しがちです。

しかしそれらは本の属性であって、一つひとつの本がそれぞれの分野の枠内に押し込められ、バラバラに存在するものではありません。先にも述べましたが、本には人類が生きていくために獲得してきた森羅万象についての認知・認識の結果が記されています。それが一つひとつの本の本質であり、全体としての本のもっとも大事なところです。宇宙や地球の誕生と私たち一人ひとりの人の生き方とどこかでつながっている。生命の本質とビジネスのそれとはどこかでかかわっている。人類の進化と人のアイデンティティとの問題は密接にかかわっている。そう考えるとこの世に存在するすべて本が「自分探し」の〈立ち位置〉を定めるときに参考になるはずです。(終)


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