2010年04月20日 (火)  19:00～20:30

21世紀も10年を経て、現代日本の経済は失われた20年と言われ、政治も2009年に民主党に政権交代したものの、内閣支持率は低下する一方です。また、少子高齢化が進み、明るい将来像が描けない状況にあります。
リーダー不在といわれる今の時代、個人として、集団として、私達は何者であり、そして私達の行動を生み出す心の源泉とは何か、その「本質」を見つめ直すことは、よりよい未来を担うために重要な問いではないでしょうか。
不完全な競争を作り出して利益を最大化する、そんな米国流の経営の行き詰まりを経て、グローバル化が進む21世紀を生き抜くために何が必要か。そこに野中氏は、著書『美徳の経営』（NTT出版2007年初版　2010年重版）の中で、これからの卓越した経営の秘訣には「美徳」の復権があると重んじられています。
「美徳」は、実践の過程によってのみ実現され、その実践のための知が「賢慮」であるとされます。現実を凝視し、変化を恐れず、知恵を絞って将来を創り出すこと、絶えず変化する現実に即して仮説の立案と実践による検証を無限に繰り返すプロセスをマネジメントするリーダーの力、そこに、古代ギリシャの哲学者アリストレスが提唱した「フロネシス（賢慮）」を備え、現在よりも良い未来の創出につながるイノベーションを起す賢慮型リーダーに求められる6つの能力が示されています。

1. 社会や人々に歓迎される未来を創出するための共通した「善い」目的があること
2. 知識や知恵が生まれる人と人との相互作用を促進する「場」をタイムリーに設けること
3．現在完了形で静止した状態の現実（リアリティ）ではなく現在進行形で変化し続ける生きた（アクチュアリティ）を見抜くこと
4．直観的に見抜いた本質をコンセプト（概念）に転換できること
5．コンセプトを大きな物語に仕立て周囲に語って説得しコンセプトを実行に移してゆけること
6．リーダー個人が備えた賢慮や能力を実践を通して組織内に広げ伝承してゆけること
※『NIKKEI BUSINESS』（2009.10.12）野中郁次郎氏インタビューより　

「VISIONARY INSTITUTE - 2010 Seminar」シリーズ（全9回）の第1回は、「量の時代」から「質の時代」へ。その現代の変遷にあって、2007年の『ウォール・ストリート・ジャーナル』誌において「The most influential businessthinkers（最も影響力のあるビジネス思索家トップ20）」に選出された野中郁次郎氏に、卓越した価値創造の本質に迫る人間中心のイノベーションの真価についてご講演いただきます。
新たな卓越性を生み出す「美徳」がもたらすイノベーションについてご教示いただく貴重な機会です。

＊「VISIONARY INSTITUTE−2010 Seminar」では、『今、学んでおかなくてはならないこと』をご教示いただく9名の先生方のセミナーの開催日前後に、ライブラリーメンバーを対象にしたライブラリートーク「VISIONARY INSTITUTE–2010 World Cafe」を開催いたします。各講師陣の思想や推薦書籍を編集的に紹介し、集うメンバー同士が自在な対話を繰り返し、先生方の思想を自らの力とすることを目指します。
何を（what）、どのように（how）だけではなく、誰が（who）という、個人としても集団としても、集う一人一人がリーダーとして何を実践できるのか、その原動力・源泉を見いだす機会です。参加された方々との対話の記録を、一冊の書籍にまとめる予定です。詳細情報は六本木ライブラリーのメンバーの皆様へ、直接e-mailでお知らせします。

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