六本木ヒルズライブラリー
書 籍
ライブラリアンの書評 2020年1月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?
みなさんにとって「仕事」とはなんですか。「本を読む」とはなんでしょう。「本当に好きなこと」について、自身に深く問いかけたことはありますか。
それらはみな別々のことですが、本書においては1本の線でつながっています。著者である島田さんは、本当に好きなことについて自身に問い、それは「本」にまつわることであるとし、33歳で「夏葉社」という出版社をひとりで立ち上げます。「ひとり出版社」として、編集・営業・事務・発送・経理、すべて自分の手で行うことを生業としています。
効率や生産性を重視した、短距離走めいたビジネスを強いられがちな現代。次々と新しい本が出版されていく中で、沢山売れる本を作るのではなく、「大変だけれども確実に、職人のように心を込めて本を作る」こと。テクノロジーが進むことで生まれたり無くなったりする仕事はあれど、不変なことは、ひとつひとつの仕事に丁寧に向き合い、次へと渡していく心がけ。
そのためにも本を読む。本を読んでは自身に問いかける。果たして自分の仕事は、目の行き届く範囲でできているだろうか?と。
「本を読むということは、現実逃避ではなく、身の回りのことを改めて考えるということだ。自分のよく知る人のことを考え、忘れていた人のことを思い出すということだ」
具体的な誰かを思い、誰かひとりの心に届くように一冊の本を作り上げる。そこにはひとつひとつの仕事に出会う「新鮮さ」があります。
手にした本そのものから、著者の人柄が伝わってくる一冊。「仕事」という言葉が、新たな意味を帯びる心地がします。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
古くてあたらしい仕事
島田潤一郎新潮社
注目の記事
-
04月18日 (木) 更新
【重要】「アカデミーヒルズ」閉館のお知らせ
「アカデミーヒルズ」は、2024年6月30日をもって閉館させていただくこととなりました。これまでのご利用ありがとうございました。閉館までの間....
-
03月26日 (火) 更新
動的書房 ~生物学者・福岡伸一の書棚
目利きの読み手でもある生物学者の福岡伸一による、六本木ヒルズライブラリーのための選書書棚「動的書房」。2024年3月に新たに21冊が並びまし....
-
03月26日 (火) 更新
本には、人生を変え、時代を創るパワーがある!
2023年4月から2024年2月まで全6回で開催したシリーズ「編集者の視点〜時代を共に創る〜」。モデレーターの干場弓子さんと何度も企画会....
シリーズ編集者の視点〜時代を共に創る〜 <編集後記>
現在募集中のイベント
-
開催日 : 06月06日 (木) 19:00~20:30
【最終回】カーティス先生と語り合いましょう!
カーティス教授の政治シリーズ最終回。1964年に初めて来日したカーティス先生は、米国そして日本国内という2つの視点で日本の政治を見続けてきま....
-
開催日 : 05月28日 (火) 19:00~20:30
メタバースは私たちの「学び」に何をもたらす?
いま注目されているメタバースでの学び。メタバースだからこそ得られる創造的な学びとは何でしょうか? バーチャル技術を活用した学びを牽引するN高....
~学びの本質を見つめ、未来を展望する~
-
開催日 : 05月21日 (火) 12:00~12:45 / 05月21日 (火) 19:00~19:45
ゆる~くつながろう!メンバー雑談
テーマなし!年齢制限なし!ライブラリーメンバーなら誰でも参加できる雑談イベントです。肩の力を抜いて楽しく、そしてリラックスした45分を過ごし....