六本木ヒルズライブラリー

ライブラリアンの書評    2023年1月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?




パズル好きならご存じ「数独」。
「タテ9列、ヨコ9列のそれぞれに1から9までの数字がひとつずつ入り」、かつ「太線で区切られた3×3の枠内にも、1から9までの数字がひとつずつ入る」という、ルールはシンプルながら実に奥の深いパズルです。

その「数独」というパズルがいかに世の中に広がったのか、日本初のパズル雑誌『ニコリ』がどのように生まれたのか。そしてその生みの親、鍜治真紀氏とはどのような人物だったのかが描かれる本書。

自身を「非常勤社長」と呼び、雑誌『ニコリ』については「奇跡の不定期雑誌」「目にとまった日が発行日」といった独特なキャッチコピーで表現。仕事でいながら遊び心あふれるその生き方が、身近にいた方々のお話から浮かび上がってきます。

日常を離れて没頭できる「パズル」を世に送り続けた鍜治さんの、「日常と非日常の間を生きる」感覚。そして「遊びが仕事、仕事が遊び」というスタンス。遊び心を持つことができる「心の余裕」が大事だ、と思わずにはいられません。

そしてタイトルの「すばらしい失敗」とは? その失敗があったからこそ、数独は世界に広まっていったとされています。その由来は、ぜひ本書を紐解くか、ポッドキャストを聞いてみてください!
失敗を恐れず、挑戦を続けることで見えてくる風景が、実にすばらしい!のです。
 

(ライブラリアン:結縄 久俊)
 
 

すばらしい失敗

ニコリ【編】
ニコリ



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