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活動レポート

シリーズ「美術の時間に教わらなかったアート入門」開催レポート(1)

第1回のテーマは「日本の美術」

アカデミーヒルズセミナー活動レポート文化教養

アカデミーヒルズ スタッフの活動レポート

開催日:2013年2月4日(月)
文/Kumada 写真/アカデミーヒルズ・スタッフ

シリーズ「美術の時間に教わらなかったアート入門」とは・・・

六本木アートカレッジーでは、森美術館で開催中の「会田誠展:天才でごめんなさい」(2012/11/17~2013/3/31)にちなみ、このシリーズを企画しました。

会田誠は、センセーショナルな作品が話題になりがちですが、複雑な社会現象を背景にした幅広いテーマ、日本画の名作をベースに敷いた多様な表現方法で、作品を発表し続けている作家です。

本シリーズは、会田作品をより理解し、楽しむベースとなる「日本美術」「現代アート」「サブカルチャー」をテーマに、「ここをおさえればアートがもっと楽しくなる!」をスタンスに、堅苦しい学術書とは一線を画した、大人のためのアート入門講座(全3回)です。

国宝絵師:この5人を覚えておこう!


スピーカーの鈴木芳雄氏


日本の美術を学ぶ第一歩として、スピーカーの鈴木芳雄さんは、「複数の作品が国宝に指定されている絵師5名を知ること」とお話されます。具体的には以下5名です。

1, 雪舟等楊(1420年~1506年:室町時代に活動した水墨画家・禅僧) 「秋冬山水図」をはじめ、6つの作品が国宝に指定されています。
2, 長谷川等伯(1539年~1610年:安土桃山時代から江戸時代初期にかけての絵師で桃山時代を代表する画人) 「楓図」と「松林図屏風」の2点が国宝指定。
3, 狩野永徳(1543年~1590年:織田信長、豊臣秀吉に仕え安土城、聚楽第、大坂城などの障壁画を制作) 「洛中洛外図」、「花鳥図(聚光院障壁画)」、「檜図屏風」の3点が国宝指定。
4, 俵屋宗達(生没年不詳、江戸時代初期に活躍) 「風神雷神図屏風」、「蓮池水禽図」、「源氏物語関屋及び澪標図」の3点が国宝指定。
5, 尾形光琳(1658年~1716年:江戸時代中期を代表する画家) 「燕子花図屏風」、「紅白梅図屏風」、「八橋蒔絵螺鈿硯箱」の3点が国宝指定。

5名の名前は、なんとなくお聞きになったことがあると思います。国宝に指定された作品を是非ネット検索してください。「あっ!この絵なら見たことがある」という作品が多数あると思います。画家と作品が一致すれば、日本美術への理解もぐーんと深まります!


★まめ知識★【国宝】
■国宝の王様は誰?
 作品が一番多く国宝に指定されているのは、8点ほど指定されている弘法大師(空海)です。
■国宝は個人所有も可能?
 意外かもしれませんが、個人所有の作品も国宝指定になることがあります。ただ所有者の義務として「日本国外への輸出禁止」や「譲渡の制限」があるそうです。
■海外所蔵はNG?
 海外に所蔵されている作品は国宝指定ができないとのこと。江戸末期に献上品として海外に“国宝クラス”の重要文化財が多数流出したと言われています。しかしこの流出によって、ヨーロッパで高く評価され、モネやゴッホ、ロートレックなど世界を代表する多くのアーティストに多大な影響を与えたそうです。

日本美術からインスピレーションをえた会田作品!


満席の会場
会田作品には、日本美術の名作をベースに敷いた多様な表現方法を取り入れたものもあります。上記5名の絵師の国宝作品から、インスピレーションをえた作品としては、

■「風神雷神図屏風」(俵屋宗達)→「美しい旗」(戦争画RETURNS)
■「洛中洛外図」(狩野永徳)→「紐育空爆之図」(戦争画RETURNS)
などの作品があります。

また「考えない人」では、下半身はオーギュスト・ロダンの有名な彫刻「考える人」、上半身は「弥勒菩薩半跏思惟像」(広隆寺)や「菩薩半跏像」(中宮寺)からインスピレーションをえているのではないでしょうか。

このように、会田作品単体ではなく、作品と作品の関係性、作家と作家の関係性を踏まえて鑑賞すると、今までとは違う視点で見ることができるのではないでしょうか。是非チャレンジしてみてください!


★まめ知識★【琳派】
直接師から画技を学んだ狩野派等とは違い、活動した時期がずれて全く面識もなく師弟関係もありませんが、作品に強烈に影響を受けて、様式を継承した人々です。俵屋宗達に強烈に影響を受けた尾形光琳、尾形光琳に影響を受けた酒井抱一などが「琳派」になります。しかし宗達と光琳、光琳と抱一は、各々約100年ずつ活動時期がずれており、面識も師弟関係もありません。つまり、時間や場所、身分が遠く離れた人々によって受け継がれたことは、他に類を見ない特色です。



 スピーカーの鈴木芳雄さんがセミナーの中でも、作品の説明に留まらず、日本美術についてのまめ知識や、国宝作品が実際に見れる場所や展覧会情報を織り交ぜてお話くださったことで、参加者は日本美術がぐっと身近になったのではないでしょうか。


該当講座

シリーズ「美術の時間に教わらなかったアート入門」
第1回 ビジネスパーソンもおさえておくべき日本美術
鈴木芳雄 (編集者/美術ジャーナリスト・合同会社美術通信社代表)

スピーカー:鈴木芳雄氏(美術ジャーナリスト)
3回シリーズの第1回、テーマは「日本の美術」。魅力にあふれる日本の美術についての入門編です。日本美術の全てを知るのは大変ですが、「ビジネスパーソンとして、これだけ押させておけばOK!」となれば、ぐっと身近になるでしょう。「全く日本の美術は知らない」、「知りたいとけど退屈なのは嫌!」、「オイシイところだけつまみ食いしたい!」という方、是非ご参加ください。


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