記事・レポート
天文学と占星術の不思議な関係
渡部潤一氏×鏡リュウジ氏
更新日 : 2010年08月31日
(火)
第7章 2010年はどうなる?
渡部潤一: 最後に、これは皆さんお聞きしたいところかと思うので代表して伺いますが(笑)、2010年の世界の情勢は占星術的に見ると、鏡さん、どうですか。
鏡リュウジ: 大変です。リーマンショック以降、大変な星の配置になっているんです。これから景気はよくなると言う人もいますが、占星術的にはなりません(笑)。残念ながら、まだしばらく時間がかかります。
木星は12年かけて太陽系を1周します。土星は29.5年周期で、木星と土星が地球から見て同じ方向に見えるのは20年に一度です。これを「グレート・コンジャンクション(大会合)」といいます。この時は、時代の大きな変わり目になります。
2000年におうし座方向で木星と土星のコンジャンクションが起きました。おうし座は「土」の星座です。2020年ぐらいから、木星と土星のコンジャンクションが「風」の星座に移動していきます。それまでの「土」は物質やお金、これから移行する「風」は知性や情報をつかさどる星座です。今年(2010年)、木星と土星は地球をはさんで反対側に位置していますので、我々はそうした新しい時代の節目、時代の転換点の真ん中にいるのです。
渡部潤一: なるほど。いやあ、本当におもしろいですね。当たらないとは思いますが(笑)。
鏡リュウジ: でも去年(2009年)7月の皆既日食の直前に対談したとき、冗談半分で言ったら、本当に政権交代があったじゃないですか(笑)。
昔の本に「太陽というのは伝統的にその国のリーダーで、それが欠けるというのは、その国のリーダーに何か変化があるとか、何か異変があるというシンボルだ」と書いてあって、その対談でその話をしたんですよね。
渡部潤一: 時に当たることもある(笑)。私の方からも2010年についてお話しておきましょう。まず6月に部分月食があります。望遠鏡や双眼鏡を使わなくても見えます。それから8月中旬にはペルセウス流星群が来ます。星がよく見える所では、1時間に20~30個ぐらい見られます。12月中旬にはふたご座流星群が、12月21日には皆既月食が見られます。
今年は元日にも月食があったので、1年に月食が3回もある年なんです。12月21日の皆既月食は、東京は条件がいいので、完全に地球の陰に入った真っ赤な月が東から昇ってくるのが見えますよ。
次の皆既日食は、2035年9月2日です。でも六本木ヒルズからは見えません。六本木から見える日食があるかなと思って調べてみたら、ずっと先、2762年の8月です(笑)。そんなに待たなくても、金環日食ならわりとすぐ見られます。2012年の5月21日、月曜日の8~9時ごろです。東京、大阪、名古屋が金環日食帯に当たるので、その地域ではリングのような太陽が見られます。この日は皆さん、ぜひ有給休暇をとって見てください。
宇宙の世界では、こういったおもしろい現象がさまざま起こります。今日は観望会ということで、みなさんには六本木ヒルズのスカイデッキから本物の星空を眺めていただいて、それぞれに想いを馳せていただければと思います。(終)
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該当講座
鏡リュウジ(占星術研究家/翻訳家)
渡部潤一(天文学者/自然科学研究機構国立天文台天文情報センター長・アーカイブ室長・総合研究大学院大学准教授)
科学の発展とともに別々の道を歩むこととなった天文学と占星術の不思議な関係についてお話いただきます。
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