日本元気塾

共通セッションの活動報告(5期)

日本元気塾
更新日 : 2017年01月17日 (火)

第3回「異なる領域をつなぐ大きなビジョン」遠藤 謙/為末 大

講義概要

■開催日時 
2016年11月10日(木)  19時~21時
 
■概要
・為末氏、遠藤氏 講義
・対談
・Q&A

■講師 遠藤 謙(ソニーコンピューターサイエンス研究所研究員/㈱Xiborg代表取締役)
    為末 大(元プロ陸上選手)

文:佐野 写真:御厨慎一郎
(左から)遠藤氏、為末氏。

日本元気塾共通講義第3回は、4期のゼミ講師をつとめた為末大さんと遠藤謙さんにご登壇いただきました。元プロ陸上選手と義足エンジニア。異なる領域のプロフェッショナルが手を組み、義足をつくる会社Xiborgを起業。リオパラリンピックでは、Xiborgのトップアスリート向け競技用義足を使用した陸上男子400mリレーの佐藤圭太選手が銅メダルを獲得したことで話題となりましたが、お二人が次にどんな未来を描いているのか。それらが紐解かれる2時間となりました。

人間はどういう進化をするのか?それを知りたい
為末さんは、異なる生物が同じ環境にいると、身体的特徴が似通った生物に進化する「収斂進化(しゅうれんしんか)」をキーワードに挙げ「“歩く”“走る”という動作に最も適した形は何か?これから人間はどういう進化をするのかに強い興味をもっている。生き物のデザインの先がどうあるべきかを知りたい」といいます。
遠藤さんは「技術者なのでデータを取るのが好き。でも“アスリートファースト”を掲げ、選手と為末の会話を聞く。アスリートの考え方は数値化されていない直感もあるが、それが後に科学的に正しいと証明されることもある。僕はデータと現場とを組み合わせて、新しいものを先回りして作りたい」と語ります。

大きなビジョン、興味を共有しているからうまくいく
Xiborgでは「パラリンピックとオリンピックの陸上タイムをひっくり返す」ということを、2020年の目標に掲げていますが、それは短期的な目標として「僕たちは人間の身体の進化の先を知りたいというすごく大きなビジョン、どでかい夢を共有しているから手を組み、協業できている」とお二人は口を揃えます。また、為末さんは「遠藤謙がいなければ義足はできない。彼の突出した能力を発揮してもらうことを最優先にしたいので、不得手なタスクは与えない(笑)ことが重要だとわかった」とユーモアを交えて役割分担についてもお話いただきました。

対談では、人間とモノ(ロボットや科学技術)の関係性はどうなっていくか、2020年に何を達成したいのか、さらに会社運営の裏側や悩み(?)まで語っていただきました。後半はたっぷりQ&Aの時間をとり、塾生からのつっこんだ質問にも、本音ベースで返答するお二人に感動し、多くを学びとることができたセッションでした。

※対談、Q&Aの内容は こちらで詳しくレポートしています。

講義の感想レポート 

塾生による講義を終えての“熱い感想”を、毎回ご紹介していきます。 
今回は、高井さん、柴田さん、中原さんのレポートです。



高井さん
今回の講師は、遠藤謙さんと為末大さん。遠藤さんが出演されたNHKの「プロフェッショナル-仕事の流儀」のロボット技術者特集は見ていましたので、感動が深まりました。小生が感動したのは、両氏の良い競技用義足を作ろうとする純粋さです。遠藤さんは、MIT Media Lab のHugh Herr教授の言葉”There is no such a thing as a disabled person. There is only a physically disabled technology" を引用し、 社会的インパクトを考えて、より良い競技用義足を作ろうとするひたむきさを感じました。ベースとなる価値観を一致させ、志を高く事業を起こす社会起業家の存在を知ったことは良い刺激になりました。


柴田さん
人の持つ諸機能の補充(disable をable へ)はもちろん、不自由さを補完するだけではなく、強化が出来ると更に面白く楽しい。日常よく両手がふさがり人の手を借りたくなる時、もう1つ義手を装着することにより一人で出来ることが増える。多様なお手伝いも出来る。義足に至っては、2足装着により走行が4足になれば、シマウマのように早く走破出来る可能性も探れるかもしれない。機能性とデザイン性の良い義手、義足が多く利用されることにより商業ベースにのることに繋がり、本来必要なdisableの方々が安価な価格で希望するものを入手、活用できることに想いを馳せる。人にとってMovingは基本的に楽しい。体の向きを変える、座る、立つ、歩く、走る、飛ぶ、ステップを踏む、踊る、持つ、運ぶ、蹴る、自分の思うとおりに動けると本当に嬉しい。実現するには優秀な技術者の研究やそれを支援する体制が求められるが、今夜は為末氏、遠藤氏のお話を伺い、心が動いた(Moving)。


中原さん
為末さんと遠藤さんのお話を聞いていて何より感じられたのは、お二人がとてもいい関係性で、この難関なプロジェクトにチャレンジされていらっしゃるなぁ、ということでした。
「すべての人に動く喜びを」。お二人が挑んでいるのは、まだ世にないものを創り出していく事業です。バックグラウンドが全く異なるお二人が、その理念を実現するために、それぞれが力を尽くす。その姿がXiborgという素晴らしい会社=チームに大きなエネルギーを与えているんだろうなと、屈託なくお話をされるお二人を見ていて想像できました。
プロジェクトを実現するためには、必ず良き仲間が必要になってきます。仲間と衝突を恐れず、妥協無く意見をぶつけ合うことは、言うことは簡単ですが中々できることではありません。チームがバラバラになりかけた時、最後に問われるのはチームの根底に流れるプロジェクトへのパッションであることを、改めて感じることができました。お二人のお話から得られたものは、今後の自分の事業に活かしていきたいと思います。

講師コメント

今回の講義を通じて、講師はどのように感じたのでしょうか?



為末さん
以前元気塾に関わった時には、プロジェクトの始まりぎわだったので、理想を話していましたが、実際にプロジェクトを進めるにあたり、いろいろな壁にぶつかりまたチーム内でも激しい議論を繰り返してきたので、具体的にはどんなことが起きるのかを伝えられたのかなと思っています。
質問も具体的なことをたくさんいただいて、こちらも楽しく授業をすることができました。ぜひ受講生の方の中からプロジェクトが生まれるのを願っています。

遠藤さん
我々にやっている活動は、傍から見ればしっかりした体制で行なわれているかと思われがちですが、中身をみてみたらいろいろな人の助けを借りつつ、何度も衝突し、ときには失敗しながら、それでも目標に向かって進んでいます。結果ばかりでなく、実際のところどんな風にして現在の状態になれたのかを少しでも見ていただき、皆さんのプロジェクトの足しに少しでもなれたらと思っています。


米倉先生
この二人は実に深い。アスリートとエンジニア。多分21世紀はこんな人たちが創造していくのだろう。思わず嬉しくなってしまうセッションでした。


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