日本元気塾

藤森ゼミの活動報告(5期)

日本元気塾
更新日 : 2017年01月27日 (金)

第3回 「Diversityと変革のプロセスを語る」

講義概要

■開催日時 
2016年12月1日(木) 19時~21時

■概要
・藤森氏講義 
事前課題 「米大統領選直後のヒラリー・クリントンスピーチ」を見て
・Q&Aセッション

文/佐野 写真/アカデミーヒルズ

イノベーションはとんでもないアイディアも殺されない社会から起こる

アメリカ大統領選で敗北したヒラリー・クリントン氏のスピーチを視聴をした評価は「いいね!(good)」or「悪い(bad)」どちらか?という選択から講義はスタートしました。「どうしてそう思ったのか?」という藤森さんからの問いかけにも慣れてきた塾生は、どんどん挙手、発言が続いていきます。
藤森さんは、最初「いいね!」と思ったヒラリー氏のスピーチは、後半に「(女性としての)見えないガラスの天井がある」といった表現があり、それが敗北の理由と言い訳した印象になったところはマイナスポイントだったかもしれない、と評しました。

そして「ガラスの天井」という表現を引き合いに、Diversity(ダイバーシティ=多様性、全ての人がバックグラウンド(ジェンダー、学歴、宗教、肌の色など)に関係なく、平等な社会をつくること)の重要性について語られました。藤森さんが米GEに所属した頃(1990年頃)には、既にDiversity Trainingに時間をかけており、アメリカでは非常に重要視されてきたダイバーシティ。それでもヒラリー氏が「ガラスの天井がある」と発言するのだから、根深い問題です。
「自分の会社にガラスの天井があると思ったら、それを改善してほしい。」と伝える藤森さん。塾生からの「企業の業績にダイバーシティはつながるのか?」という質問に対しては「強い企業とは、イノベーションがおこる企業。イノベーションはとんでもないアイディアも殺されない社会から起こる。同じような人たちでは、多様な意見は出てこない。ダイバーシティを大事にしないと、社会の変化に対応できないので、長い目で見れば必ず業績につながる」と熱く語りました。

後半は「変革のプロセス」について、質疑応答も含めてたっぷりと語られました。ここでは藤森さんの言葉をピックアップしてご紹介します。
「まず、ビジョンを作る、という明確な認識を持つこと」
「自分たちのコアは何で、どこで戦うかを決める」
「ビジョンが出来たら、組織と人に目を向ける」
「今までと同じような組織、メンバーでは変革はおきない」
「メンバーにはニーズを共有し、ビジョンを実感させる(変革したらどんなメリットが自分にあるのか)。それが納得できて初めてコミットが生まれる」

今回の講義を受け、塾生は次回の藤森ゼミまで(2ヶ月間)に「自らの組織で変革を起こし、具体的に何を行ったかを発表する」、という大きな課題に挑みます。

講義の感想レポート 

塾生による講義を終えての“熱い感想”を、毎回ご紹介していきます。 
今回は、工藤さん、鈴木さん、白鳥さん、杉山さんのレポートです。


工藤さん
第3回藤森ゼミでは、ヒラリー・クリントン氏のアメリカ大統領選挙の敗戦演説を評価するかを議論した。女性リーダーとして「パッションがある」、「ストーリー性、メッセージ性がある」など高評価なメンバーの一方で、「冒頭では全国民に向けて発したメッセージが、最終的には自分の支持者や女性を始めとする少数派に向けた内容になっている」など低評価とするメンバーに分かれた。いずれの立場であっても、今回の演説を通して学んだことは「Diversity(多様性)」と「より良い方向への変革」の重要性であると思う。
演説の中で「ガラスの天井」と表現されている「少数派進出の壁」は、程度の差はあるが、どこにでも存在すると思う。ヒラリー氏の願う「ガラスの天井を打ち破る」ために、今の自分に何ができるか?—
まずは、自分の心の中にある「ガラスの天井」を打ち破るところから挑戦を始めようと決意する機会となった。


鈴木さん
課題を頂いてはじめて、ヒラリー・クリントン候補の敗北宣言を見聞した。感謝・労い、継続そして融和姿勢を以って最大限に党員サポーターや観衆の共感を惹きつけた、ほぼ完璧とも言えるスピーチというのが第一印象。選挙戦のディベートでは、自らを主役においた「I(アイ)」メッセージで有能さを示す傾向があったと感じていたので、敗北宣言の性質ではあるものの、共感を引き出す言葉に高い完成度が見られたことで好意的な印象を持てたのだろうと自分なりに考えた。
ヒラリーは「ガラスの天井」について述べるべきだったか否か?という思いもよらない指摘に、視点が変わると同じスピーチであっても受け取り方が変わることをあらためて認識した。落選の言い訳と取る向きも確かに肯定はできるものの、障壁のひとつであったこともまた否めない事実と考えられる。異なる意見を容認するところから多様性を認められる社会が始まると考えれば、様々な考えが排斥されない環境を醸成することが、組織の大小に関らず求められることなのだろうと思った。
スピーチの冒頭では米国が思った以上に深く分断されたとも述べられており、異なる考えに対して排他的な行動に走らず、多様性に配慮した政策を新政権には期待したい。


白鳥さん
急な会議で講義の前半を聴講できなかったので、後半で印象に残った点について記します。「世界の流れをしっかり見ながらビジネスを進めていく必要がある」という先生のコメントを聞いて、ハッとしました。日々ニュースには接し、気になるキーワードを中心にチェックしているものの、「世の流れがどう変わっているかというマクロな視点を持って情報に私は接しているだろうか?単に点と点で情報を捉えていないか?」と猛省しました。AIとロボット、グローバル化の動き、中国の動向と、グローバルリーダーが今何に注目しているかを把握した上で、より高いレイヤーで広く世界の動向を見て戦略を考えられる人材になるべく、日々、自己研鑽を重ねたいと思います。


杉山さん
今の変革を起こすリーダーに必要なもの。それは第四次産業革命とも呼ぶべきAI、ロボット、IOT、グローバリズムの潮流、中国の台頭、人口動態の変化など、世界のトレンドを捉えて、直面する課題は何かを把握し、その課題をいかにして解いていくか、これまでの常識を疑って取り組んでいくことが求められる。それには、生産性、統一性、チーム力といった単一的な見方から、ダイバーシティによる多様な視点、思考を組み込んでいくことが鍵であることを今回の講義を通じて認識させられた。自らが変革者となって、非連続なイノベーションによって新たな価値を創造していく覚悟を持っているのか?詰まる所は「What’s in it for me?」と徹底的に考え抜いて、目指すところを決めて自分事として行動に移すことしかないと奮起を促された2時間であった。

講師コメント

今回の講義を通じて、藤森さんはどのように感じたのでしょうか?


リーダーがビジョンを作るためには、世界の大きな流れを読むことが重要だ。そのためには、本を読むだけでは足りない。今の時代、新しい情報はTwitterやYoutubeでいくらでも見ることができるので、実際に会えなくても、世界の先見性をもっている人をフォローして情報を手にいれることができる。その時に、自分の注目するキーワードをもって情報にふれることも大切だ。

リーダーは、必ずビジョンを描かなければならない。決断する、というのも仕事だ。行き先を示すのがリーダーであり、間違えたら変えればいい(変えた理由は説明が必要だが)。今回「変革のプロセスの実行」を課題としたが、伝えたいことはひとつ。

「迷うな、走り出せばいい。」

まず一歩踏み出してほしい。

紹介図書

冒頭に「言葉」の重要性が語られる書籍として藤森さんからご紹介された2冊です。

◆「サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福」
動物も群れは作るが、人類は言葉を使うことによってストーリーやある種の虚構を作り、さらに大きな単位でまとまり、繁栄することができた、といったことが紐解かれる...「言葉」はすごいものだとわかる内容。

◆「言葉力が人を動かす—結果を出すリーダーの見方・考え方・話し方」
リーダーとして「言葉」の重要性が語られている本で、藤森さん自身の考えに一致することも多い、と紹介されました。

サピエンス全史 上

ユヴァル・ノア・ハラリ : 柴田裕之
河出書房新社

言葉力が人を動かす

坂根正弘
東洋経済新報社



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