石倉洋子のグローバル・ゼミ

「個の時代」に必要な課題意識と自分らしさ

1章 とにかく若手に機会を提供したい

2010年に開講した「Global Agenda Seminar(以下、GAS)」は、グローバル人材育成の第一人者である石倉洋子氏が主宰するゼミ形式のプログラムです。

今回、聞き手にForbes JAPAN副編集長であり、GAS1期生の谷本有香氏を迎え、GASにかける思いや、GASが目指すグローバルリーダー像、GASによってどのような成長が望めるのか、「個の時代」と言われる現代に必要な素養など、石倉氏に語っていただきました。

これからは「個の時代」。だからGASを始めた


石倉洋子(一橋大学名誉教授)
谷本有香氏(以下、谷本):
2010年に受講して8年が経った今でも、GASは知の拠り所であり、多くの仲間ができた大切なコミュニティです。まず、石倉先生がGASを始めようと思った背景について教えてください。

石倉洋子氏(以下、石倉):
始めようと思ったのは3つの思いからです。
1つは、世界のどこに行っても生き抜いていける個人を作りたいと思ったこと。
21世紀は「個の時代」。私はユニークで自分のやり方を持つ「強い個人」が必要とされる時代になると考えています。

2つ目は、機会の提供。
当時携わっていた世界経済フォーラムにおいて、世界の課題が盛んに議論されていましたが、日本ではほとんど認識されていませんでした。日本では世界の課題を考える機会がなかなかないので、それを提供したいと思いました。

3つ目は英語。世界の課題について何らかの形でアクションを起こしたり、意見を述べたりする際には英語が必要です。だからGASの講義は全て英語で行なうと決めました。

谷本:
他にも英語を使うことのメリットはありますか。

石倉:
まず得られる情報量が圧倒的に違うこと。そして、英語で発信するか否かでSNSやブログなどのリーチが全く違います。また、言葉は文化や考え方を反映しているものなので、それを知ることはとても大事なことだと思っています。

今は翻訳ソフトがありますが、私はやはり直接その場で相手が何を言っているのかを理解でき、自分の意見を述べられることは重要だと思います。
英語での講義に戸惑う声もありますが、とかく日本での関心が集まりがちな、英語を「どう流暢に話すか」ということより、「何を言うのか」のほうが大事だと考えています。


日本のリーダーとグローバルリーダーの違い


谷本有香(Forbes JAPAN副編集長)

谷本:
GASを受けていた頃、私も取材でさまざまな国際カンファレンスに参加させていただくことがありました。そこで気づいたのが、国際舞台で活躍する日本人の少なさです。
GASの受講生はみなさん非常に優秀ですが、国際舞台で活躍する人たちと、GASの優秀な受講者たちには、どのようなギャップがあるのか、何が足りないと思いますか。

石倉:
いろいろな理由があると思いますが、とにかく機会がないのが問題ですね。日本社会はいまだにヒエラルキーがあり、ある程度の年齢になったり、肩書がないと、国際的な場に参加する機会を与えてもらえません。
しかし、経験がない若い人に対し「経験がないから」とチャレンジさせないと、いつまで経ってもできるようにはなりません。ポテンシャルがありそうな若手に、まずは機会を提供し実践させることが大事です。やってみると学ぶことがとても多く、一挙に成長してさらに機会をつかめるようになると思います。

谷本:
具体的に日本のリーダーとグローバルリーダーとの違いは何だと思いますか。

石倉:
一番の差は年齢です。私がダボス会議に出席した2000年は、ちょうどITバブルの時代で、世界では40-50代くらいのビジネスリーダーが、より若いリーダーへの世代交代が起こりつつあるのを目の当たりにして、「リーダーとして若い人が活躍する時代に、私たちの経験は今後何の役にも立たないのか」という懸念を持ち、「私たちのレガシーとは何か」と真剣に議論していたんです。

一方、日本から参加したリーダーは、彼らより年齢がずっと上なのに、「ダボス会議では全然新しいことはなかった」と言っていたんですね。

年齢だけではないかもしれませんが、同じものを見ても感度が全然違うと強く思いました。残念ながら、最近でもその状況は変わっていません。


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