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<チーム・ポリシーウォッチ>2018年の政治・経済・政策を斬る

活動レポート政治・経済・国際その他
更新日 : 2018年04月20日 (金)

~憲法改正に邁進となるのか?改革は本当に進むのか?~ (後編)

CEOの専任プロセスや報酬インセンティブにメスを


コーポレート・ガバナンスについては、形を整えることではなく、大企業、上場企業が利益を最大化し、競争に勝つ上での合理的なマシンであるべきなのに、日本では社会主義共同体になっているという現状と、日本の会社は戦後従業員の雇用を守ることが圧倒的に大事になってしまい、従業員以外は関心がないのではないかという富山氏からの問題提起がありました。

また野村氏は、コーポレート・ガバナンスはガイドラインであり、日本企業はすべてやることを前提にしており、カバナンス改革と言いながら大胆に変えようとしない点が課題という指摘がありました。

竹中氏は両氏の発言を受けて、日本は長期的に利益をあげることを目指していると言っているが、長期利益が下がってきているという点に言及し、そして努力義務であるコーポレートガバナンス・コードにどのように向き合い、改革を進めるべきではないかと投げかけました。さらに
・CEOの専任プロセスの公明正大化については、指名委員会でCEOを指名させて、社内の論理で決めさせないことが重要だという点
・経営者が何かを改革しても自分に跳ね返らないので、経営層への報酬インセンティブを取り入れる方向で改革を推し進めるべきだ
など、多くの問題提起がされました。

本議論のまとめでは、2014年から日本でもコーポレートガバナンス・コードの議論が進み、2015年から有価証券上場規程等にも適用されてきた中で、海外投資家はますます日本企業の具体的な取り組みを注視してくるだろうと総括しています。

働き方改革=労働市場改革の視点で

続いて、竹中氏は企業の新陳代謝が少ない、企業内の人員整理ができていない、柔軟な労働市場になっていないなどの問題点を挙げた上で、本来取組むべきは働き方改革というよりも労働市場改革の方ではないかと投げかけました。

それを受けて、松原氏、原氏、平氏を中心に、
●今後の人手不足について、「中小企業では内定を出しても半分しか入社しないという」状況をあげ、労働市場改革でなければならないこと
●本質的な課題は、正社員の過剰保護、労働市場の流動性の欠如であり、同一労働同一賃金をうまくやれば正社員改革が進むと期待したが、今は非正規社員を正社員化するということ
●合理的な政策判断、実行ができていないのは、改革派の国会議員が少ないということもあり、仕組みとしての政党の問題と人材の問題があること
●メディアで残業代ゼロ法案とも呼ばれるように、年収が低い人が残業代をゼロにされるような印象操作の中で議論が進んでいる点
●金銭による解雇の議論も進めようとしているが、法律の整備が進まないと議論のしようがない
ということなどが話されました。

労働市場の改革注目メニューとしては、「若い人が働きたいときに働けるようにする」、「何が何でも雇用を守らないといけないというドグマから離れて、解雇ルールそのものを変える」、「雇用・解雇のルールを海外企業にもわかりやすくする」「副業で所得を上げることで、今までとは違うアプローチでの問題解決を図る」などが挙げられました。特に解雇ルールに関しては、守られているのは大企業の正社員のみが対象で、職場復帰のみが保証されているとも言える実情に対して複数の登壇者が言及する中で、やはりコーポレート・ガバナンスを浸透することが重要だという指摘がありました。

中小企業の正社員が数としては多いものの、日本の正社員の既得権益をどうするかという議論になりがちです。モノ言う株主がいない中で、現実的にどう進めてけるのか?やはりコーポレート・ガバナンスの具体的な議論の必要性が確認されていました。
 


(左から)竹中平蔵氏、平将明氏、富山和彦氏、野村修也氏、松原聡氏、原英史氏

実効性高い特例措置でイノベーションを



終盤には竹中氏が、戦略は細部に宿るという考えで、加計問題のバイアスに捕らわれずに、ここは外してはだめという特例措置を総意のもとで実行することの重要性を語りました。原氏は、海外の例として「規制の砂場」と呼ばれるイギリスやシンガポールのレギュラトリー・サンドボックスを紹介。FinTechなどの新しいサービスの創出に向けて、規制の自由度を高めて最先端のテクノロジーを用いたサービスの誘致合戦が各国で進められています。

日本は、先行して国家戦略特区を進めてきたものの、現状は出遅れてしまっています。トップ主導ではないと動かないこのような特例措置をどこまで実効性のあるものにできるかが肝であると指摘しました。野村氏は、日本は規制をなくした経験がなく、リスクの許容度が低いものの、社会全体でリスクがあることを許容しなければ改革を進めることは難しいと語りました。

第4次産業革命に向け、グローバルで戦える人材の育成を


さらに、リスクを取らないことがリスクになる可能性がある動向として、第四次産業革命が挙げられました。

第4次産業革命は、人創り革命の領域であり、グローバルで戦えるプログラマーを育成していく必要があると原氏が語られる一方、冨山氏はグローバル人材の要件は上がっており、「将来のゴルフの松山選手、テニスの錦織選手のような人材を何人輩出できるか?」というのが重要な論点であることを指摘しました。
「現在は、10万人が対峙しても1人に負けるというゲームになっている前提を理解した上で、第4次産業革命で勝っていくための人材を育成するという視点が必要」と強調されていました。

最後に、それぞれの登壇者から、今後の経済・政治・政策の展開に関して注目したい観点が示されました。

原氏:電子政府やAI・ブロックチェーンなどの第4次産業革命、自動運転などの通信インフラなど公的なインフラを民間に開放し、成長への道筋をつけること。

松原氏:石破さんの政策パッケージに期待している。株価変動や政策議論にも注目していきたい。

野村氏:仮想通貨のトラブルもあったように、社会的仕組みがみんなに共有されていない点が問題。マスコミの陽動作戦に取り込まれることなく、社会はみんなで作っているという原点を確認していきたい。

冨山氏:第4次産業革命、オリンピック後がどうなるかという議論があるが、グローバル人材と一般は分かれており、誰が勝ち組という話ではない。すべての人が人生の誇りを持てるようにしていく必要がある。

平氏:今は、国を動かすにはいいタイミング。声を上げてくれさえすれば今の政権では採用されなくても最終的には誰かしらの政策になっていく。ぜひ、皆さんからアイディアをいただきたい。

そして竹中氏より、「第4次産業革命を活用して、多様な色とりどりの人生が送れる多様な社会を目指していこう」と議論の総括がありました。<了>

該当講座

2018年の政治・経済・政策を斬る
2018年の政治・経済・政策を斬る

毎年恒例の「チーム・ポリシーウォッチ」によるシンポジウム。
2018年の世界情勢、日本経済や金融市場はどう推移するか?日本の政策の論点は何か?そして、安倍政権の下で本当に必要な改革が進むのか考えます。
竹中平蔵/冨山和彦/野村修也/松原聡/岸博幸 ほか多数


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