記事・レポート

一人ひとりが世界を変える方法

マイクロソフトから途上国の子供たちに教育支援をする“天職”に出会うまで

更新日 : 2009年07月24日 (金)

第3章 強いチームワークと世界に広がるチャプター

Room to Read CEO、ジョン・ウッド氏

ジョン・ウッド: 今や170万人の子どもたちが、学校、奨学金制度、それから図書館にアクセスできるようになりました。「2020年までに1,000万人の子どもたちに教育の場を提供する」という約束なのですが、この調子でいきますと、2018年ぐらいまでに達成できると思います。つまり10年後には1,000万人が学校や図書館で本を読むことができるのです。

こういったすばらしい取り組みは、私一人でやっているわけではありません。本当に私は運がいいのですが、すばらしいチームであるということが重要なのです。慈善事業ではリーダーばかりが前面に出て神さまみたいな存在になり、実際の作業をしている人を忘れがちになってしまいます。

でも私たちルーム・トゥ・リードで必要なのは現地のコミュニティと仕事ができる人で、地元の言語がわかっている人。地元に根ざした人たちに、それぞれの国で頑張ってもらっているのです。

私の主だった役割は、資金集めです。奨学金のためにはお金が必要です。1年間、女の子を学校に行かせ、奨学金で賄う、そして必要な物も全部あてがうとしても、円にすると1人当たり25,000円だけで済みます。図書館を開くためには、米ドルで5,000ドルです。これだけで大きな変化をもたらすことができるのです。

ネパールでは、私は親と一緒に2つの学校をつくることができました。米ドルで5万ドルぐらいなので、手が届く額でした。

資金を集めるためのチャプターが各地にできています。私のように仕事を辞めてまでフルタイムでやるという人はそんなにたくさんいないと思います。私は財政的に恵まれていて、セーフティネットもあったのですが、でも、私のお金だけでは、7,000の図書館、あるいは700もの学校をつくれません。

そこでパーティを開いてくださいというふうに動きました。1ケースのビールを用意して、私がプロジェクターをもってスライドショーを見せ、そして「2万5,000円でこれだけのことができるんです」ということを言ったわけです。アムステルダム、シカゴ、ニューヨーク、香港などでプレゼンをしました。東京のチャプターもでき、今日はここに東京チャプターのメンバーに来ていただいています。

世界各地に全部で37のチャプターがありますが、東京チャプターができたのは昨年(2007年)です。草の根のボランティアの皆さんのおかげで、最初の2年間で、米ドルで100万ドル、1億円も集めたのは日本が初めてでした。ぜひ、日本全土にこの活動を広げていただきたいと思います。

関連書籍

マイクロソフトでは出会えなかった天職—ぼくはこうして社会起業家になった

ウッド,ジョン, 矢羽野 薫【訳】
ランダムハウス講談社


該当講座

特別セミナー
「“一人ひとりが世界を変える”方法がここにある」
Room to Read CEO、ジョン・ウッド氏をお招きして
John Wood (ルーム・トゥ・リード 創設者 兼 共同理事長)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

『マイクロソフトでは出会えなかった天職(原題:Leaving Microsoft To Change the World)』の著者、ソーシャルアントレプレナーのジョン・ウッド氏による特別セミナーです。 マイクロソフトのエグゼクティブであった氏が、非営利団体ルーム・トゥ・リード(Room to Re....


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