記事・レポート

オバマ大統領と今後のアメリカ

ライブラリートーク 「日本の政治シリーズ 第1回」

更新日 : 2009年08月27日 (木)

第6章 アメリカ人は「過剰消費型経済」にはもう戻らない

ジェラルト・カーティス コロンビア大学教授
ジェラルト・カーティス コロンビア大学教授

ジェラルド・カーティス: 次にアメリカ経済についてですが、いつよくなるかは、まったくわかりません。90年代の日本を振り返ってみてもそうですが、バブルが弾けたら立ち直るまでには時間がかかるのです。多分、アメリカの国民は1年ぐらいは我慢するでしょう。しかし来年(2010年)の今頃になって失業率が2桁で、ダウ平均が6,000程度と回復していなければ、当然、批判の矛先はオバマ大統領に向けられます。

国家経済会議委員長のローレンス・サマーズさんがやっていることの効果は、今のところ現れていません。一般的に「消費者にもっとお金を流して、消費行動を増やせば経済はよくなる」と単純に考えられていますが、今の金融危機、経済の実態は、アメリカ人のものの考え方そのものを変えたと私は思います。

日本ならびに世界経済は、アメリカ人の過剰消費のうえに成り立ってきましたが、もうアメリカ人は元の消費活動には戻らないと私は思います。1970年代半ば頃までアメリカの貯蓄率は毎年10%ありました。それがゼロになり、去年(2008年)の後半はマイナスになりました。今、毎月貯蓄率が上がって、また10%へと向かっています。これは大事なことだと思います。

ジェラルト・カーティス コロンビア大学教授

クレジットカードを使って、持っていないお金を使うという無責任な行動は、もう終わったのです。オバマ大統領がいくらお金を流しても、アメリカ人がそんなに消費をしなければ経済が早く立ち直ることはありません。そうなったらオバマ大統領に対する批判が起こるでしょうし、事実、もうすでに新聞にはそういう記事も出ています。 もう1つの心配事は外交です。今、アフガニスタンとパキスタンを省略して「アフパック(Af-Pak)」と呼ばれていますが、その問題です。オバマ大統領はすでにアフガニスタンに17,000人の兵を増派していますが、泥沼に陥る危険があります。 アメリカが軍事力でアフガニスタンを近代国家にする、タリバンを壊滅させることは不可能でしょう。もっと限定的な目標を立て、できるだけアメリカ兵を減らしていかないといけないのですが、オバマ政権内で意見が割れています。下手をしたら、ブッシュにとってのイラク、ジョンソンにとってのベトナムと同じになりかねません。