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ライフスタイルサロン「編集力シリーズ」第二回 ゲスト:佐藤可士和

更新日 : 2009年08月11日 (火)

第6章 外からの刺激が発想をプログレスする

佐藤可士和氏(左)、竹中平蔵(右)

佐藤可士和: 僕は、竹中さんに共感できることがたくさんあったので、ぜひお会いしたいなと思っていたのですが、いわゆる“政治”という世界は、みんな何を守っていて、何狙いなんですかね?(笑) それが本当にわからなくて。

竹中平蔵: 私もすごく自問自答しましたよ。これは私の見方ですが、ものすごい貸し借りがあるんです、政治の世界には。例えば選挙で勝つためにある人から支援を受けた、そうすると頭が上がらないというか、世話になったことは返さなければいけない。結局、貸し借りの積み重ねが、がんじがらめに人を縛っているんです。だからこそ本質を強く信じることが大事で、それがあるから可士和さんからは、いろいろな自由な発想が出てくるのではないかと拝聴して思いました。

そこでぜひ聞いてみたいのですが、考える作業をなさるときは、一体どういう瞬間にプログレスがあるのでしょうか。

佐藤可士和: 基本的に寝ているとき以外はずっと考えていて、ほかの刺激が入ったときに、パチッと結びついたりすることが多いです。ただ、ずっと考えていてもあまりブレークスルーしなくて、外から刺激があったときに「あれはこうだったのか」とパズルがはまったりします。

安藤礼二(左)、佐藤可士和氏(中央)、竹中平蔵(右)
安藤礼二(左)、佐藤可士和氏(中央)、竹中平蔵(右)
本を読んでいても、映画を観ていても、人と話をしていても、多分どこかで別のことを考えています。仕事では30個ぐらいのプロジェクトを同時進行しているのですが、1つずつ、ずっと止まらないで考えながら、そこになるべくほかの刺激を入れようとしています。

竹中平蔵: 私の経験でも、自分だけで考えて何かひらめくというのはそんなになくて、行き詰っていたものが外から刺激をもらってピュンと跳ねる瞬間があると思います。

佐藤可士和: 意識的に自分でつくる場合もあります。例えば僕の場合ですと、考えがあまりにもまとまらないときは、まとまっていなくても作り始めてみたりするのです。要するに仮説を立てるということなのですが、とりあえず形にしていくと、ビジュアルとしての刺激になってきます。

しゃべるというのもすごく重要で、よくスタッフやマネージャーである妻に自分の思っていることを話してみます。言語という形にすることで、「違う」とか「いい」という刺激になって返ってくるのです。

安藤礼二: 他者の中にあらわれてくる本質をどう自分の中に取り込むかは、今日の1つの大きなテーマですね。