記事・レポート

流通革命
BuyMa(バイマ)成功の舞台裏

更新日 : 2009年03月24日 (火)

第5章 キックオフ後、売れない2カ月間。別サービスの展開で飛躍

株式会社エニグモ代表取締役 須田将啓氏

須田将啓: 失敗から再出発して、経験のある人に紹介していただいた中から最適な会社として選んだのが福井にある会社でした。それもちょっと面白いかなと思っています。

『BuyMa』はどこにいようが、そこに良いものがあれば、そしてそれを発見できる目利きの力があれば、埋もれていたものを発掘して世の中に出すことができる。その人が目利きしたものを、『BuyMa』というサイトを通して世界中の人に触れさせることができる。

そういうことに魅力を感じて始めたので、システム会社が地方だったというのは、コンセプトに合致したポイントでもありました。結果、コミュニケーションも全く苦労なく、安価で、かついいクオリティでつくってもらうことができました。

「立ち上がればすごいぜ」という思いがあったからこそ、そこまでたどり着いた『BuyMa』ですが、実際に立ち上げてみると、最初の2カ月ぐらいは全然売れませんでした。売れても、よくよく調べてみると、「ああこれ、お前の親じゃん。また身内買いか」みたいな話で、社内では盛り上がりつつも、「やべぇ」という気持ちがありました。

C to Cなので買う人もバイヤーさんも両方プロモーションで何とかしないといけないということで、本当にフラストレーションがたまりました。体力があり余っているので、肉体労働してでもお金稼いでやるぜ、みたいなノリだったのですが、とにかく力があり余っているのに何もできないという3カ月が続いて、悶々として会社も険悪な雰囲気になっていました。

そこで、とにかくこのパワーを何かに充てて利益を出した方がいいということで、営業をかけて売れるものを考えて、誕生したのが『プレスブログ』です。

『プレスブログ』は話題になって売上を上げられるようになりました。人も足りなくなったので、そのためにお金も調達して、オフィスを移転しよう、そして『BuyMa』に投下しよう——と、回り出したのが立ち上げてから1年目。そこからは一気に飛躍していきました。

西川英彦氏
社員数はこのとき6名です。ここから社員も増やし、『BuyMa』も『プレスブログ』も伸びて会社は活気づいてきて、初代「ウェブ2.0ビジネス大賞」(2006年、EC研究会)を受賞してノリノリになっていました。ノリに乗って沖縄に社員旅行に行って、『filmo』を開始して、また人が増えて3回目のオフィス移転をしました。アメリカにも進出し、国際送金や決済に強い金融機関さんに入っていただいたことで、エスタブリッシュな会社とのコネクションを得ることができました。

今年(2008年)に入って『シェアモ』をオープンし、2月にCNET Networks Japanさんが主催する「Tech Venture 2008」を受賞することができ、ここまでの紆余曲折を書いた本を出版いたしまして、沖縄に2回目の社員旅行にも行けました。

ちょうど昨日(2008年10月9日)は、今後期待できる起業家を表彰する、「DREAM GATE AWARD」のヒューレット・パッカード賞をいただきました。我々はグローバルな会社を目指し、世界市場をつくっていくという考えでやってきたので、海外の第一線のビジネスパーソンのトップに表彰されたということは本当にうれしかった、すごく自慢したい賞です。

『BuyMa』は、プロモーションコストやマーケティングコストが必要で、売れるまで利益貢献しないので、どんどんお金が出ていってしまう。それで『プレスブログ』というサービスを立ち上げ、そちらで安定収益を立てて、その間に『BuyMa』という資本集約型のモデルを立ち上げていきました。ある程度ブレークイーブンした後は、常に利益貢献し、利益幅は大きくなるモデルです。安定収益モデルと、資本集約型のモデルを並行してやったというのが成功したポイントの1つだと思っています。


該当講座

流通革命「BuyMa(バイマ)」成功の舞台裏
須田将啓 (株式会社エニグモ代表取締役/共同最高経営責任者)
西川英彦 (法政大学 経営学部 教授)

2005年のサービス開始当初からそのユニークなアイデアで注目を集めるオンラインショッピングサービス「BuyMa(バイマ)」。BuyMaは、Buying Market(買い付け市場)の略。サイトユーザーがバイヤーとなってお勧めの商品をサイトで紹介し、購入希望者が現れたら商品をお店で買い付けて希望者に販....


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