記事・レポート

「アメリカ大統領選挙から、アメリカ社会を考える」

更新日 : 2008年06月18日 (水)

第15章 政治家にとって一番大切なのは、経験ではなく希望

ジェラルド・カーティス: 3年前からここ、アカデミーヒルズで講演していますが、来年(2009年)、4年目の講演をするときは、オバマ政権の話ができることを期待しています。彼が大統領になると一番いいことは、国民に新しい希望を与えるということです。希望を与えるというのは、政治家にとって一番重要なことです。

そういう意味では、小泉さんはなかなか立派な政治家でした。「リスクをとってやれば、絶対によくなるんだ」と宣言することで国民の支持を得た、これは大事なのです。福田さんは、もっと希望を与えるようなことをやらないと。

オバマさんは国民に希望を与えたことで、若い人たちや黒人だけでなく、最近ではヒスパニックの支持も結構増えてきました。アメリカの格差問題、貧困問題は日本よりものすごく大きいんです。最近、日本の改革の必要性を主張する方のなかに「アメリカをまねしないと日本は駄目になる。アメリカのようになるべきだ」という意見の方がいるのですが、アメリカがそんなに良ければオバマが大統領になるはずがないんです。不満があるから、彼を支持しているんです。格差がひど過ぎる。

私は日本に来ると、まず区役所に行って外国人登録をしますが、そうすると国民健康保険に加入できるんです。日本国民じゃないのに(笑)。アメリカで はそういうことがない。私の娘はずっとフリーランスで仕事をやっていましたが、フリーだと企業の保険制度がないから自分で民間の健康保険を買わなければなりません。健康保険をプライベートで買うと、月に1,000ドル、10万円掛かります。運よく彼女は、先週、健康保険やいろいろなベネフィットがある正社員の仕事がとれたんです。ホッとしています。

「アメリカ大統領選挙から、アメリカ社会を考える」 インデックス