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小さな一歩が世界を変える!

「医療」「教育」で世界を変えるニッポン人

更新日 : 2016年06月29日 (水)

第5章 最高の授業を世界の果てまで届けよう

三輪開人(NPO e-Education代表理事)

 
最高の授業を世界の果てまで届けよう

三輪開人: 「最高の授業を世界の果てまで届けよう!」をスローガンに、途上国で子ども達の教育支援を行うe–Educationの三輪と申します。

私は早稲田大学を卒業後、JICA(独立行政法人国際協力機構)で3年半、国際協力に関わる仕事をしました。実は、e–Educationプロジェクトはそれ以前の2010年に、同じく早稲田大学の学生だった税所篤快(以下、アツ)、現地でパートナーとなった大学生・マヒンと共にスタートしました。そして2013年にJICAを退職し、現在はe–Educationに専念しています。

私達の活動は、アジア最貧国と呼ばれる国、バングラデシュで始まりました。貧困のせいで数多くの問題がありましたが、その中で私達が着目したのは「教育」でした。なぜなら、教育を受ける機会を奪われていた子ども達がたくさんいたからです。

最大の問題は、貧しさとともに、教師が不足していたことです。中でも深刻だったのが、高校の授業を教えられる先生がいないことでした。頑張って高校に進学しても、満足な教育を受けることができないわけです。また、高校に通いたくても、貧しいために中退する子ども達もたくさんいました。

さらに、バングラデシュには大学予備校がたくさんあり、大学入学者の9割は予備校出身者です。予備校に通うためには、現地の平均年収以上のお金がかかります。地方の貧しい村に暮らす学生は大学進学を諦めなければならず、結果として収入の高い仕事に就けなくなり、貧困の連鎖が続いていく。

2010年、僕が初めてバングラデシュで出会った子ども達は「勉強がしたい」と涙を流しました。彼らは知っています。一生懸命勉強して良い大学に入れば、良い仕事にたどり着ける。たくさんの給料をもらえれば、家族を幸せにできる。同時に、それが叶わぬ夢であることも知っていました。学びたいけれど、学べない。その状況を多くの子ども達が諦めをもって受け入れていたのです。
 
e–Education で“東大”に合格!

三輪開人: こうした負の連鎖を断ち切り、子ども達に学ぶ喜びを届けるため、私達が取り組んだのがDVDによる映像授業です。私とアツは大学受験の際、映像を通じて授業を行う東進ハイスクールに通っていました。さらに、私は大学入学後の4年間、現代文の林修先生の下で講師アシスタントをしていました。そうしたことから、いつでもどこでも受講できる映像授業の効果を実感していました。

まずは、先生探しです。日本と同様に、バングラデシュの予備校にも有名講師がいます。彼らに「授業風景を撮影したい」と交渉すると、思いのほか快く協力してくれました。撮影した映像をtwitterやFacebookを通じて集めた5台のパソコンと一緒に、マヒンの出身地であるハムチャー村に持っていきました。

ハムチャー村は、首都ダッカから船やバスを乗り継いで8時間の場所にある農村です。僕達が声をかけると、村はずれにあるボロ小屋の教室に地元の高校生30人が集まってくれました。そして、映像を見せたところ、誰もが食い入るように画面を見つめ、メモを取り始めたのです。

DVD授業とともに、テストなどのサポートを半年ほど続けた結果、驚くべきことが起こりました。スタートから1年目にして、バングラデシュ版の東京大学とも言われるダッカ大学に、1人合格したのです。現地では新聞に載るほどの大ニュースとなりました。また、授業を受けた30人のうち、なんと18人が大学に合格しました。現在は毎年のように大学合格者が増えており、ダッカ大学には過去5年間で43人が合格しています。

最初にダッカ大学に合格したヘラルは4年間、奨学金をもらわずに卒業しました。塾講師のアルバイトを続け、学費や生活費に加え、親への仕送りまでしていました。彼はこの春、新たに芽生えた夢を叶えるため、大学院に進みます。教育省のトップになり、この国の貧しい人達に最高の教育を提供する仕組みを作るそうです。このように、合格した学生の多くが自国の未来のために働きたいと答えています。

e–Educationでは現在、バングラデシュをはじめ、世界7カ国9地域、4,000人の子ども達に、様々な教科の映像授業を提供しており、その数はいまもなお増え続けています。


該当講座


小さな一歩が世界を変える! 
~「医療」×「教育」で世界に挑戦する日本人イノベーター~
小さな一歩が世界を変える! ~「医療」×「教育」で世界に挑戦する日本人イノベーター~

吉岡秀人(小児外科医・ジャパンハート)×三輪開人(e-eduication)米倉誠一郎(日本元気塾塾長)
社会的変革で途上国を変えようとする日本人イノベーターがテーマ。吉岡氏と三輪氏はミャンマーで出会い「医療」×「教育」で新しいイノベーションを引き起こそうとしています。“入院中の子供たちに映像による教育を提供する”ことにより子供たちに将来、未来、夢をもたらすことです。今までの各々の活動、そして新しい出会いがもたらした新たな取組みの可能性、社会的インパクトについて多面的に考えます。


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