記事・レポート

女性起業家、明日への挑戦!

「想い」から生まれたイノベーション

更新日 : 2016年03月02日 (水)

第4章 壁に激突し、学びを得て、前に進む


 
様々な出会いを上手に活かす

本荘修二: 遠藤さんの前職は、食品とは関係のない職業。そこから突然、あられ屋さんを始められたわけですが、周りの人達はさぞかし驚いたと思います。

遠藤貴子: 私は新卒で銀行に入り、その後は不動産業界で働いていました。そのため、つ・い・つ・いを創業した当初は、両親や友人から「どうして、あられ屋なの?」とたびたび質問され、心配されました。もしくは、笑われるか、苦笑されるか……。

本荘修二: パリでお好み焼き屋さんを始めたある方は、周囲から「物好きだ」と笑われつつも、それをバネに様々な困難を乗り越え、4年かけて事業を軌道に乗せたそうです。遠藤さんも周囲から色々と言われ、さらに「ヤバイ!」という状況に何度も突き当たりながら、いまや海外展開まで始められています。

遠藤貴子: 壁に激突し、そこから学びを得て、再び前に進んでいく。常にその繰り返しだったため、笑われていることを気にする暇もありませんでした。例えば最初の頃、あられ工場の職人さんはこちらの意見に全く耳を貸してくれませんでした。「新しい味を作りたい」とお願いしても、「そんな時間はない」の一点張り。しかし、何度を通い続けるうちに少しずつ会話ができるようになり、最終的に希望していた商品を作ってくれました。そこに至るまで4年ほどかかりましたが。

本荘修二: 遠藤さんのお話を聞く限り、あられとの出合い、旦那さんとの出会いなど様々な物事がうまくつながり、現在に至っているような印象があります。そもそも、なぜフランス国籍の方と結婚されたのでしょう?

遠藤貴子: 以前から、結婚相手は日本人とフランス人のハーフがいいな、と思っていました。本当は純粋なフランス人がよかったのですが、私はフランス語が話せない。だから、ハーフであれば、日本語の面でも安心できるかなと思いました(笑)。

本荘修二: 日仏のハーフと出会う確率は非常に少ないと思いますが……。最終的にそれを実現してしまったのがすごい。さらに、旦那さんの言葉がきっかけで海外を目指すようになり、商品の広がりも生まれたそうですね。

遠藤貴子: 以前、夫から「イチゴ味のあられを作ったら?」と言われ、その時は「そんなものは邪道だ」と思っていました。今、お店ではストロベリー味の柿の種チョコレートを売っており、とても好評です(笑)。

本荘修二: ビジネスを国際化する前に、まずは家庭を国際化した(笑)。しかし、それが結果的にビジネスに広がりを生み出すきっかけにもなった。様々な出会いを上手に活かすことが、1つのポイントだったようですね。


該当講座


現代ビジネスコラボレーション「女性起業家、明日への挑戦!」(19:00~20:30)
現代ビジネスコラボレーション「女性起業家、明日への挑戦!」(19:00~20:30)

これからが楽しみな女性起業家に、経営コンサルタント・多摩大学客員教授の本荘修二氏がインタビューを行う連載「明日をつくる女性起業家」(講談社現代ビジネス)。この連載では、国内外問わず、20名以上の新進気鋭の女性起業家たちに、幼少時代から現在にいたるまで、これからの挑戦についてのお話を伺っています。

インタビュアーの本荘氏は、彼女たちには、生命力と行動力があって、やりたい!と思ったことに対して気づいたら走り出していたという共通点がある一方、独自の目線だからこその事業内容や、その進め方にも相違点があったと連載を振り返ります。

自ら問題意識を持って、行動し、世の中にインパクトを与えている女性起業家たち。

今回は、連載に登場したiemo株式会社代表取締役CEO・村田マリ氏、株式会社つ・い・つ・い代表取締役の遠藤貴子氏、株式会社和える代表取締役矢島里佳氏の3名をお招きし、本荘氏が彼女たちにそれぞれの起業家としての生き方に迫ります。彼女たちの挑戦の先には、どのような未来が待っているのでしょうか---。