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世界一の企画会社を目指すカルチュア・コンビニエンス・クラブ

その足跡と今後の成長戦略を増田社長が語る

BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2012年10月29日 (月)

第1章 「世界一の企画会社」を目指す

日本人の約3割が利用している「Tカード」、本屋でコーヒーを飲みながら本を読める「Book&Cafe」、60歳以上の大人向け「代官山 蔦屋書店」など、1983年の創業以来、人と世の中を楽しくする環境=カルチュア・インフラを作ってきたカルチュア・コンビニエンス・クラブ。その成功の秘訣と今後の戦略を増田氏が明かします。

講師:増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO)

増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO)
増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO)

増田宗昭: きょうはカルチュア・コンビニエンス・クラブについて、4つ、お話ししたいことがございます。1つは「MBO(マネジメント・バイアウト)をした理由」について、それから「TSUTAYA」と「Tカード」、そして「代官山プロジェクト」についてです。

TSUTAYAは1983年に大阪の枚方市で始まり、2000年に東証マザーズに上場、2003年には東証1部に上場しました。来年(2013年)でTSUTAYA創業30周年になりますが、私どもを取り巻く環境はこの30年間で、コンテンツのデジタル化、ネットインフラの急速な普及、大手企業の参入、グローバル競争など、激変しています。

激変の時代は大変ですが、逆に言うと、デジタル対応型の次世代ビジネスや、企画会社としてのデータベース・マーケティングなど、新規事業の可能性がたくさんあります。そうしたチャンスを活かすためには長期的にリモデルしなければなりません。しかし、上場していると四半期ごとに結果を求められます。長期的にやることを一般の投資家の方に説明するのは難しいと考え、2011年2月にMBOをしたのです。

MBOをしたことで、株主は私一人になりました。だから今、社員には「株主のことなんて気にしなくていい。ひたすら顧客価値を考えろ」と言っています。物やサービスが不足していた時代には、企業がお客さまを選べる可能性がありましたが、今のような物あまりの時代には、お客さまから選ばれるしかありません。選ばれるポイントは「価値」です。だから社員には「お客さまから見た価値、顧客価値をつくれ。その1点にしか頭を使ったらあかん」と言っています。

また、激変の時代には、意思決定を迅速にしなければなりません。聞いたらその場で決める、極端に言えば会議もしない、即決即行です。先日(2012年6月)発表したヤフーさんとの提携も、話を始めてから契約するまで1カ月かかっていません。このように「爆速で顧客価値をつくる集団になりたい」という思いでMBOをしました。

カルチュア・コンビニエンス・クラブのビジョンは世界一の「企画会社」になることです。皆さんによく間違われるのですが、TSUTAYAの店舗をやっているのは、全国各都道府県の企業さんで、直営店はごくわずかです。カルチュア・コンビニエンス・クラブは、TSUTAYAの運営に必要なノウハウ、店舗パッケージ、ブランド、ITなどを提供しています。すなわち、企画を売って口銭をいただいている企業です。

「企画会社」といっても、企画なら何でもやるわけではありません。私たちのいう「企画」とは、ライフスタイルに革命を起こすようなインフラやプラットフォームをつくることです。エンターテイメントの流通としてのTSUTAYAやTSUTAYA DISCAS、あるいはどこでもポイントが貯まって使えるTカードなど、ライフスタイルにかかわるプラットフォームを企画・プロデュースしています。

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該当講座

世界一の企画会社を目指す

~カルチュア・コンビニエンス・クラブの成長戦略~

世界一の企画会社を目指す
増田宗昭 (カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 社長兼CEO)

増田 宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO)
7月のランチョンセミナーは、TSUTAYA、Tカードを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO増田宗昭氏をお迎えします。


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