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メディア化する企業はなぜ強いのか? 小林弘人氏が解説します

BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2012年07月27日 (金)

第6章 メディア化の上級編はオープン・イノベーション

小林弘人(株式会社インフォバーン代表取締役CEO/株式会社デジモ 代表取締役 ソーシャル・トイ・ビジョナリー)

小林弘人: 最後に、上級編としてオープン・イノベーションについてお話しします。オープン・イノベーションとは、ヘンリー・チェスブロウというアメリカの学者が唱えていることで、かいつまんで言うと、他社やユーザーと一緒にサービスや商品を開発していくことです。これは社外だけでなく、社内でも使えます。大企業の場合は、隣の組織がやっていることや持っている知財を知らないことがあるので、社内でもイノベーションを起こすことが必要になります。オープン・イノベーションは、その両方に使えるのです。

最近はオープン・イノベーションを起こすのに使える「オープン・イノベーション・マネジメン・ツール」がたくさんリリースされています。例えばeYeka(アイカ)やSpigit(スピギット)がそうです。こうしたものをOwned Mediaの中に置くのも有効です。

インフォバーンの関連会社のメディアジーンが運営している「ギズモード」で、Spigitを使って、2012年に流行りそうなものを社内で話し合ってみました。Spigitを使うと、投稿に対して投票でき、コメントや支持率が表示されます。こうして集まったみんなからの投票と意見に加え、委員会による審査を経て、最終的に残った3アイテムを「2012年はどんなガジェットが流行るのか、ギズの中で話し合ってみた」というタイトルの記事にして発表しました。すると各社のポータルサイトが、それをニュースとして拾ってくれました。今回は社内でやりましたが、今後はギズモードの読者とやってみたいと思っています。

こうしたツールが誕生する前に、これを自社でやったのが無印良品です。「くらしの良品研究所」というサイトで、ユーザーと一緒に商品を開発しています。そのプロセスを含めて、全てをコンテンツにすることで、オープン・イノベーションの過程をメディアにしたのです。これは非常に高度な技ですが、最近は取り組む企業が増えてきています。

もっと詳しく知りたいという方は、『メディア化する企業はなぜ強いのか?』にたくさん書きましたので、ぜひお読みいただければと思います。

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小林弘人
技術評論社


該当講座

メディア化する企業はなぜ強いのか?

~小林弘人氏に聞く、フリー、シェア、ソーシャルを活用して企業が成功するポイント~

メディア化する企業はなぜ強いのか?
小林弘人 (株式会社インフォバーン代表取締役CEO、東京大学大学院・情報学環 非常勤講師)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

小林弘人(インフォバーン代表取締役CEO)
「ワイアード」「サイゾー」などの紙媒体、「ギズモード」などのネットメディアの両方を手がけてきた、出版業界からインターネット業界にまたぐオピニオンリーダー、小林氏をゲストにお迎えします。


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