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アイデアを形にする一点突破のプロフェッショナル in 日本元気塾

Toksy、prayforjapan.jpを生み出した次世代クリエイターに迫る

日本元気塾オンラインビジネスキャリア・人
更新日 : 2012年02月20日 (月)

第1章 被災者を長期的に支援する「Toksy(トクシー)」

震災後、2人の若者が日本を元気にするwebサービスを立ち上げました。誰もが簡単に被災者に支援物資を送れるようにした「Toksy」と、世界中から寄せられた祈りの言葉を掲載した「prayforjapan.jp」。自身の強みを生かして人の役に立つモノづくりを実現した山下博巨氏と鶴田浩之氏に、アイデアを形にする秘訣を学びます。

ゲストスピーカー:山下博巨 株式会社オンザボード最高情報責任者
ゲストスピーカー:鶴田浩之 株式会社Labit代表取締役/慶應義塾大学環境情報学部在籍中
モデレーター  :米倉誠一郎 日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授

米倉誠一郎氏(左)鶴田浩之氏(中央)山下博巨氏(右)

米倉誠一郎: 今日のゲストは2人とも、見た目はどこにでもいる青年という感じですが、彼らは震災直後に思ったことをあっという間にネットで形にし、たくさんの人の共感を呼びました。これは創発的破壊の始まりだと思います。

日本にはダメなところが確かにいっぱいあります。でも我々大人は「ダメだ、ダメだ」と言ってるだけじゃダメで、こういう若者から出てきた新しい動きを「おもしろいね。すごいじゃない」とちゃんと評価しないといけないと思います。

今日は2人に、日本を元気にする活動をどうやって生み出したのかを思う存分語ってもらい、その後鼎談で、こうした活動を長期的に続けていくにはどうすればいいかを考えたいと思います。

山下博巨: まずは簡単に自己紹介を。株式会社オンザボードの最高情報責任者で、プロデューサーのようなことをしています。(2011年)2月に起業したので、会社をつくって「さあ始めよう」と思ったときに東日本大震災が起きたという感じです。

オンザボードの強みは高い技術力で、それを無駄に使って(笑)短期間でおもしろいものをたくさんつくっています。今売り出し中なのは「Comicab(コミキャブ)」というアプリです。僕は漫画をたくさん買うんですけど、何巻目まで買ったか忘れて、同じものを買ってしまうことがよくあるんです。それを回避しようと思ってつくったもので、買った漫画を登録すると、新しい巻が発売されると知らせてくれたり、友達と「何の漫画持ってる?」「あの漫画おすすめだよ」というSNS的なやり取りができたりします。これは2週間くらいでつくりました。

今日ここに呼ばれた理由の「Toksy(トクシー)」は、東日本大震災の被災者を長期的に支援することを目的に立ち上げたWebサービスです。仕組みを簡単に説明すると、支援者は「この服、もう着ないな」とか「買ったけどあまり使ってないな」という物を出品します。被災者はその中から必要だと思うものがあれば、出品者に配送依頼を出します。必要な物が出品されていなければ、リクエストすることもできます。配送料は支援者持ち。お金のやり取りのないオークション・サイトみたいな感じです。

現在の利用状況は、ユーザー数が約8,000人、出品された支援物資が約30,000品、被災者からのリクエストが約6,000件です。今、震災報道が少なくなっていて、ユーザー数が伸び悩んでいます。1日10人増えるか増えないか程度です。物資は1日に50~100個くらい出品されていますが、ピークのときの十分の一程度なので、これもだいぶ減っています。(※本セミナー開催の2011年10月現在)

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関連書籍

『PRAY FOR JAPAN ‐3.11世界中が祈りはじめた日』(講談社/prayforjapan.jp編集)

prayforjapan.jp
講談社


該当講座

未来をつくるイノベーションシリーズ  
第2回 アイデアを形にする一点突破のプロフェッショナル
山下博巨 (株式会社オンザボード最高情報責任者)
鶴田浩之 (株式会社Labit代表取締役 / 慶應義塾大学環境情報学部在籍中)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

山下博巨(株式会社オンザボード最高情報責任者)、鶴田浩之(株式会社Labit代表取締役)
米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授) 
『Toksy』『prayforjapan.jp』、3.11東日本大震災後に立ち上がった2つの「日本を元気にする」WEBサービスの、生みの親である二人をゲストにお招きします。「技術力」という強い武器をもつお二人の、プロデューサー的視点、周りを巻き込むリーダーシップ、プロジェクトの進め方や、人の役に立つモノづくりへのこだわりを通じて、自分自身の強みをどう生かしたら「アイデアを形にする」ことができるのか考えていきます。


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