記事・レポート

吉田カバンの社長が語る「メイド・イン・ジャパン」ブランド

変わらないけど変わり続ける“ぶれない経営”に迫る

更新日 : 2010年03月08日 (月)

第5章 全社員の心に「一針入魂」という社是が生きる

アカデミーヒルズセミナー会場の様子

academyhillsをフォローする 無料メルマガ登録をする

吉田輝幸: ブランドという言葉は、burn(焼く)から派生しているといわれます。放牧した牛が自分の牛だとわかるようにするために押す焼印、それから来ているらしいのです。つまり、「ブランド=企業」という認識が大切なのです。企業の社会でのあり方、また生き様がブランドとなり商品化されていくわけです。

一般的にブランドの第一条件は、そのブランドを見たときに、消費者に何らかのイメージを湧かせることができるかどうか。第二条件は、愛着を抱かせるブランドであるかどうかだと思います。

消費者に「私のブランド」として愛着を持っていただければ、消費者と企業との間に絆ができます。この絆こそが、私たちが大切にしなければならないものだと思います。代々にわたって愛着を抱かれるブランドであるべく努力するのが、私たちの一番大切な仕事です。

具体的には、商品を販売してくださる全国の小売店の皆さまに、私たちのものづくりへのこだわりや気持ちをよく説明し、理解していただく。それが消費者に伝達されて現在の成長があるものと思っています。もちろん、マスコミ関係の皆さまのご理解、ご協力も大切だということは言うまでもありません。

会社には変えてならないものと、時代によって変化させるものがあり、これを全社員に理解してもらう、理解してもらう努力をするのが経営者だと思います。

わが社では「一針入魂」という大原則のもと、おごりのない立派な人格を持った人間になる、そして利他の心を忘れない人間になる、消費者のニーズを考えた時代を先取りする企画、熱心な販売、ごまかしのないものづくり、消費者の皆さまがわかりやすい商品ポリシーの説明など、できる限りの努力をすることが、ブランドを安定維持していく方法だと思っています。

「経営は人・モノ・金プラス情報」といわれますが、今はこれに「社会関係資本」が加わってきています。こういったことを我々は忘れないで、しっかりとしたものづくり、創業者精神を守っていかねばなりません。それを守っていけば、会社は絶対に曲がって進むことはない、まっすぐ進むと私は信じています。

記事をシェアする

Twitterでつぶやく

Twitterでつぶやく

記事のタイトルとURLが表示されます。
(Twitterへのログインが必要です)


メールで教える

メールで教える

メールソフトが起動し、件名にタイトル、本文にURLが表示されます。



ブログを書く

ブログに書く

この記事のURLはこちら。
http://www.academyhills.com/note/opinion/10020305YoshidaBag.html


関連書籍

ぶれない経営

首藤明敏
ダイヤモンド社


該当講座

吉田カバンの社長が語る「メイド・イン・ジャパン」ブランド
吉田輝幸 (株式会社吉田代表取締役)
首藤明敏 (株式会社博報堂ブランドコンサルティング代表取締役社長)

吉田輝幸(株式会社吉田代表取締役社長)
首藤敏明(博報堂ブランドコンサルティング社長)
本セミナーでは、独自の輝きを放つ日本発のブランドを育てた経営者の一人である、吉田カバンの吉田輝幸氏をお招きします。1935年の創業以来一貫して変わらない鞄づくりに対する技術のこだわりと、長く愛され続けるブランドをどのように確立してきたか、その手法に迫ります。


BIZセミナー 指定なし 経営戦略