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ホームレスから企業の上場を果たした男

「ありがとう」を生み出すQ&Aサイト「OKWave」ができるまで

更新日 : 2010年02月16日 (火)

第3章 立ち上げ後、3年間は赤字。突破口になったビジネスモデル

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兼元謙任: Q&Aとウェブサーチの違いは何かというと、ウェブサーチでは、あいまいなもの、あるいはウェブに載っていないものの検索は難しいんです。

例えば、「車のCMに使われている、あの曲名って何?」とか、見た時間も、何チャンネルだったかも覚えていないものを検索するのは難しい。でもQ&A方式なら大丈夫なんです。「イタリア旅行に行くので、最新情報を教えてください」というような流行の先取り情報を教えたり、「妻の誕生日プレゼント、ネタ切れで困っています」という問い掛けに対して気づきを与えたりすることも可能です。

でも実は、最初の頃は儲からなくて、3年間は赤字で死にそうでした。でも、そのときユーザーさんが「この仕組みはいいので、会社に提案してみましょう」と、声を掛けてくださったのです。それがNTTの部長さんでした。社内では「どうしてベンチャー企業のコンテンツをうちが採用しなくちゃいけないんだ?」と、ずいぶん反対されたようですが、そういった声を退けて出来上がったのが『教えて!goo』です。

また、ヤマハは主婦の方をネットワークして回答者にしていたのですが、従業員の方が「『OKWave』は、1人の質問にたくさんの人が回答を出すのがいいね。お問い合わせセンターの仕組みに提案してみよう」と言ってくださって、アイディア出しのところから一緒につくることができました。

ビジネスモデルとしては、ソフトウェアの貸し出し提供です。1社1つではなく、たくさんの部署に使っていただけるという特徴があり、個数、サイト数が増えていく仕組みになっています。

2010年には、10カ国語で100カ国にサービスを提供したいと思っています。すでに中国とアメリカに支社をつくってサービス提供を始めていますが、問題は文化の壁で、システムの問題ではありません。そこを埋められるのは、日本に来ている韓国人の方、韓国に行っている日本人の方など、両方の文化がわかったうえで間をとりもてる方です。今、そういう人材を一所懸命育成しています。

僕は、知識に価値を持ってもらいたいと思っています。僕や皆さんが知っていて、「無料で教えてもいいよ」ということが、ある人にとってはものすごく大事な情報だったりするんです。例えば、今、ベネチアでは地盤沈下が激しくて、バス停の位置がよく変わるらしいのですが、「そのことについて教えてくれる人がいれば、お金を払ってもいい」という問合せをもらっています。

今は未だやっていませんが、「この人に聞けるなら、お金を出してもいい」というのをオン・オフできるようにして、コンテンツによっては有料化するかもしれません。でもそのプラットフォームは、「ありがとう」という感謝の気持ちもきちんと伝えられるものにする必要があります。そうすることで、社会はよくなっていくのではないかと思うんです。

政治家に任せておくのではなく、我々一人ひとりがそれぞれの情報網でやっていくしか、この世の中というのは変えられないところにきてしまっているんじゃないか。だから、NPOやNGO、それから我々のようなサイトで頑張っていきたいと思っています。

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兼元謙任 (株式会社オウケイウェイヴ 代表取締役社長)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

兼元謙任(株式会社オウケイウェイヴ代表取締役社長)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)
日本最大級のQ&Aサイト「OKWave」のノウハウを生かしたビジネスモデルと、2年間のホームレス生活を経て企業の上場を果たした兼元氏のライフトーリーに迫ります。


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