六本木ヒルズライブラリー

【ライブラリーイベント】開催レポート
電通総研×Forbes JAPAN×アカデミーヒルズ ライブラリー 
バイオが倍おもしろくなる!?「ダジャレノベーション」でバイオを身近にするワークショップ

ライブラリーイベント

日時:2017年6月29日(木)19:15~20:45@スカイスタジオ

Forbes Japanで好評連載中の「電通総研BチームのNEW CONCEPT 採集」。その番外編トークセッションを開催しています。第5弾のテーマは「ダジャレ」です。最近、「ダジャレ」を使った地方からの情報発信や新製品のプロモーションで、大きな話題となったり売り上げを伸ばしているケースが増えています。電通総研Bチームでは、これを「ダジャレノベーション」と命名し、ダジャレをアイデア発想のツールとして捉え直しました。そして、そのツールをみんなで使いこなそうという取り組みが今回のワークショップです。

大真面目に行われているダジャレプロモーション事例


まずは、「ダジャレのベーション」を提唱した電通総研Bチームの鳥巣さんからダジャレを使った企業とのプロジェクトの実例をいくつかご紹介いただきました。森永製菓との「菓子りテーション」というプロジェクトは、お菓子でファシリテーションをするという取り組みで、「お菓子」には場を和ませるという力があることを活用し、例えば「ハイチュウ」をもじって「ナイストゥミーチュウ」という名刺代わりのハイチュウを作って交換するとアイスブレイク効果でコミュニケーションがぐっと良くなったそうです。また、「お菓子な自由研究」と題して、サナカの形のスナック「おっとっと」をモチーフにした「おっとっトランプ」で食べながら海の生物を勉強するという教育プログラムも実施していて、ダジャレ全開のプロジェクトに企業が大真面目に取り組んでいます。

ほかにも受験シーズンには決まって発売される「願掛けお菓子市場」はすでに定番で、「きっと勝つ」キットカット、「うかーる」カール、「きっちりとおる」キシリトールなど、毎年変わらずの人気商品だそうです。細く長く生きられるようにと一年の終わりに食べる年越しそばやおせち料理からもわかるように、日本では古くからシャレで願掛けや縁起かつぎをしていて、元来日本人はシャレ好きだということが良くわかります。

ダジャレで地域おこし


 そして、地域おこしにもダジャレは一役買っているケースもご紹介いただきました。青森県の鶴田町の「ツル多はげます会」は、「どうせなら、もっとハゲ頭を集めて暗い世の中を明るく照らそうじゃないか」という想いのもと、2が並ぶ2月22日“ツルツルの日”に薄毛の方ばかりが集まって創設されました。以来、年2回、創設日と中秋の名月の日に「有多毛(うたげ=宴)」と題した例会を開いていているそうです。月の部分だけ穴を開けた月見の絵から頭頂部を出し、だれの頭かを当てる「名月当てクイズ」を実施したり、頭に毛がない=「けがない」ということで、交通安全ののぼりを頭に吸盤で付けて交通安全運動に参加していて、そのたびにニュースで取り上げられるので、PRの費用対効果が抜群だと鳥巣さんは言います。

そのほかにも県内にスタバのなかった鳥取県の「鳥取にはスタバはないけどスナバがある」という知事のダジャレが話題になり、それがきっかけで「スナバコーヒー」という喫茶店がスタバより先に県内に複数店舗オープンして人気になり、それに刺激されたスタバが追いかけて出店したりとダジャレが地方創生にも大きな貢献しているという楽しい事例紹介で、会場は大笑いとなりました。

YCAMの取り組み:キッチンから考えるバイオテクノロジー


続いて今回のゲスト、山口情報芸術センター(YCAM)の津田 和俊さんにYCAMの紹介と今回のお題「キッチンバイオ」についてお話をいただきました。
YCAMは、おもにメディアアートに関する企画展を行ったり、その制作施設や上演ホールもある山口県のアートセンターで、さまざまな新しい取り組みがされているそうです。その中でも新しい事業として2015年にスタートしたバイオリサーチは、バイオテクノロジーの応用の可能性を探る活動で、自分たちの暮らしにバイオがどんな風に役立つのか探っているのだそうです。

しかし、私たちにとってハードルがちょっと高いバイオリサーチの世界。そこでガレージからモノ作りやファブラボなどが誕生したように、誰もが利用するキッチンからバイオを考えるともっと身近になるのではないかということから「キッチンバイオ」を発想したそうです。例えば、微生物の研究というテーマを「パンと酵母」という身近な存在に置きかえて、自分たちで採集した酵母を培養してパンを作ったり、各地で採集した酵母との違いを実際にパンを作ることで体感したりしているそうです。

このようなYCAMでの取り組みを踏まえ、とっつきにくく日常聞きなれない「バイオ」の専門用語に慣れ親しんでもらえるよう「バイオ用語」を使ったダジャレを作るというワークショップに移りました。

クオリティの高い成果が続々!


遺伝子、ゲノム、細胞、塩基、ピペット、チップ、シャーレ、クローン、培養、コンタミネーションなどの日常生活ではあまり使われないバイオ用語やバイオ実験用具の名前が「研究テーマ」として提供されました。そこから用語選んでダジャレを使った「ダジャレ的新仮説」を作ります。最後に成果を「ダジャレポート」にまとめるという一連の作業をグループごとに行いました。ダジャレ3原則として、①質より量 ②人のダジャレを否定しない ③便乗アイデア・便乗ダジャレOK!というこのワークショップのルールにのっとりワークショップがスタート。すでに、鳥巣さんの事例紹介で大笑いをしたことがアイスブレイク効果になっているのか、グループワークも最初から大変活発な意見交換や笑いが各グループから聞かれました。




各自が考えた「ダジャレ的新仮説」をグループ内で共有し、最後にグループごとに発表していただきました。膝を打つような秀逸な「ダジャレポート」が沢山発表されました。参加者のみならず、スピーカーの面々にも出来の良さに感心する声や笑い声が絶えませんでした。
少しご紹介すると、研究テーマに「クローン」を選んで、ローンがミクロサイズになってすぐに返せる「ミクローン」や、「酵母」を選んで、シート型の酵母でいつでも手軽に食べられ、見た目もオシャレな「酵母台紙」、そして登壇者からも圧倒的支持を得た「塩基ですかーっ?!」など、ほんの数十分で考えられてとは思えないクオリティの高いものばかりでした。

参加者のアンケートには「今までで一番楽しいイベントだった!」「たくさん笑って勉強になった」「バイオもダジャレも新しい世界に出会えて面白かった」「ダジャレは初対面の人ともすぐに打ち解けられる素晴らしいツール!」などの感想をいただき、楽しんでもらえたようでした。最後に鳥巣さんから、ダジャレを多様する窓際のオジサンも活躍できる社会を目指して「シャレイングエコノミー」を推進したいというダジャレで、笑いにあふれたワークショップはお開きとなりました!


【スピーカー】
津田 和俊 (山口情報芸術センター研究員)
藤吉 雅春(Forbes JAPAN副編集長兼シニアライター)
倉成 英俊(電通総研Bチーム クリエーティブ・ディレクター)
鳥巣 智行(電通総研Bチーム クリエーティブ/ コピーライター)

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