六本木ヒルズライブラリー
書 籍
ライブラリアンの書評 2019年1月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?
皆さんは普段メモを取りますか? 取ったメモはどうしていますか? 私も普段メモは取りますが、書き留めて満足し、そのままにしてしまうことも多々です。そのままではいけない!と思い、「ちゃんとメモを活かそう」と書き留めたら、またそこで満足してしまってそのままに…。
メモ術についての書籍は多数ありますが、本書はメモを「生き方」にまで昇華する、その熱量が違います。メモを武器に日常をアイデアに変え、自分を知り夢を叶える。その方法とは?
普段の気づきはまず「事実=ファクト」として書き留めます。そのファクトにWhat?How?Why?と問います。例えば映画を見て「おもしろい」と感じたら、「なぜおもしろいと感じたのか?」と問い、自分の中にある答えを言語化=抽象化します。さらに抽象化されたことを別の何かに活かせないか?と転用します。この「ファクト→抽象化→転用」という方法で、日々の気づきを先のアクションへとつなげていくのです。
メモの取り方もユニークです。ノート見開きページの左側を左脳として「ファクト」を書き、右側を右脳として「抽象化・転用」を書くのですが、ファクトが溜まっていくと徐々に左ページが埋まっていきます。そうすると右側が空白のままで気になり、空白は埋めたくなるという欲求を活かして、思考することを促します。メモに書き留めた気づきに問いを重ねていくことで、より思考を深めていくことができるのです。
AIが台頭するこれからの時代において「考える力」を養い、全方位的に張ったアンテナの深度と精度を研ぎ澄ませる武器となるメモ。すべてのヒントは日常の中にあり、あらゆる情報を吸収し、活かすという姿勢が、本書に通底する熱量です。
そう、まずは気になったことを書き留めてみる。そこに未来を変えるヒントが潜んでいるかもしれません。
そう、まずは気になったことを書き留めてみる。そこに未来を変えるヒントが潜んでいるかもしれません。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
メモの魔力 : The Magic of Memo
前田裕二幻冬舎
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